俳優林遣都(25)が作家乃南アサ氏(55)の小説の映画化「しゃぼん玉」に主演することが19日、分かった。親に見捨てられ、女性や老人を狙った通り魔や強盗傷害を繰り返して逃避行を続ける主人公を演じる。映画では、無軌道で孤独な若者が、老婦人と出会い、失っていた感情を取り戻していく姿が描かれる。

 林は原作について「自分自身と重ね合わせ、強く感銘を受けました」と話す。主人公が変化していく姿が作品の見どころでもあり、「自分の居場所を見つけ、愛を知り、どんどん変わっていく心の動きを、大事に繊細に表現したいと思います」という。最近も、又吉直樹(35)の芥川賞受賞作のネットドラマ化「火花」に主演するなど役柄の幅を広げており、難役となりそうな今回の作品もその演技が注目される。

 メガホンをとる東伸児監督はドラマ「相棒」などの演出を手掛けてきたが、劇場用映画に初挑戦する。林の起用について「極力せりふを排して、細かい表情や行動で心情を描きたいと思っていたので、繊細な表情や存在感が際立つ役者さんだと常々思っていたのでお願いしました」と大きな期待を寄せている。

 撮影は今月18日に宮崎ロケでスタートしたばかり。今後も同県内各地で撮影を行う。主人公の人生を大きく変える老婦人は市原悦子(80)が演じる。共演はほかに、藤井美菜(27)綿引勝彦(70)相島一之(54)ら。来年春に公開予定。