警視庁は28日、歌手ASKAこと宮崎重明容疑者(58)を覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕した。ASKA容疑者は14年9月、同法違反と麻薬取締法違反の罪で懲役3年、執行猶予4年の判決を受け、執行猶予中だった。今月25日に「盗聴されている」と自ら110番通報したことから再使用の疑いが発覚した。ASKA容疑者は「事実に反します」と容疑を否認している。

 ASKA容疑者は28日午後6時半ごろ、外出先から都内の自宅にタクシーで戻った。20分後、ベンツに乗って自宅を出ようとしたが大勢の取材陣に囲まれて断念。同8時ごろ警察車両3台が到着し、同8時半ごろ、ASKA容疑者を乗せた警察車両が自宅を出発した。黒いTシャツにグレーのジャケット姿。捜査関係者に抱えられ、うつろな表情で車に乗り込んだ。

 任意同行に応じたASKA容疑者は警視庁に移送された後、逮捕された。同10時半過ぎ、ASKA容疑者を乗せたとみられる車が、警視庁から留置先の東京湾岸署に向かった。

 「逮捕へ」とテレビ各局が報じたのはこの日午後2時すぎ。ASKA容疑者の自宅に続々と取材陣が集まった。やじ馬も含め、閑静な高級住宅街に約200人が殺到。自宅前の幅計6メートルの車道と歩道を取材陣が埋め尽くした。大勢の中を割って入った警察車両に、足をひかれた人もいた。

 ASKA容疑者が警察車両に乗り込もうとすると、一斉にフラッシュがたかれた。捜査関係者が「出すよ!」「もう(車に)入ったから!」と叫んだ。車が大勢の中を割って進み出すと、車道にいた人が歩道に押され、歩道にいた人がなぎ倒された。脚立の上から落ちる人、倒れ込む人も続出。道路にあおむけの状態で寝転び、騒動に抗議する近隣住民とみられる女性もいた。

 怒号が飛び交う中、車は取材陣に取り囲まれた状態で進んだ。歩くより遅い速度で大通りまで約200メートルを約10分かけて移動。その後も、3~4台のバイクや車が追った。

 警視庁組織犯罪対策5課によると、逮捕容疑は11月中旬ごろから25日までの間、都内またはその周辺で覚醒剤若干量を何らかの方法で使用した疑い。調べに対し「私の尿から覚醒剤が検出されたということで逮捕されましたが、事実に反します」と容疑を否認している。ASKA容疑者は「逮捕へ」と報じられた後、ブログを立て続けに4回更新。「間違いですよ」と否定した。

 ASKA容疑者が知人女性宅で少量の覚醒剤を所持した疑いで覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕されたのは14年5月。警視庁が長期間、内偵を行ったが、今回はASKA容疑者の通報が発端だった。

 25日午後7時ごろ「盗聴、盗撮されている」と110番した。警察官が自宅に駆け付け、ASKA容疑者は妻と対応。盗聴器は発見されず、ASKA容疑者の言動がおかしかったため、警察官が任意で尿の提供を求めると「分かりました」と素直に応じた。科捜研で尿鑑定を行ったところ、27日に覚醒剤の陽性反応が出た。今日29日以降、家宅捜索が行われる。組対5課は今後、覚醒剤の入手経路や使用した経緯について調べを進める。