宝塚歌劇団月組新トップ、珠城(たまき)りょうの本拠地お披露目作「ザ・ミュージカル グランドホテル」「モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン カルーセル輪舞曲(ロンド)」の公開げいこが30日午前、兵庫・宝塚大劇場で行われた。

 3時間超えの通しげいこを終え、ひと呼吸置いた珠城は「あさっての初日より、新生月組がスタートします」。トップにだけ許される大羽根を背負い、あいさつした。引き締まった表情は、決意の表れだった。

 珠城は今年9月、前トップ龍真咲(りゅう・まさき)の後任として、9年目の若さでトップ就任。天海祐希に次ぐスピード昇格となった。「グランドホテル」は、トニー賞を5部門で受賞した名作群像劇。オリジナル演出・振付・特別監修のトミー・チューン氏も客席でけいこを見守った。

 1928年のベルリンが舞台。高級ホテルを訪れた人々が、1日半のうちに繰り広げる人生模様を描いたミュージカルで、宝塚では93年に涼風真世の退団公演として初演。細身の涼風は余命少ない会計士オットー役で主演したが、今回は貴族ながらに貧しく、盗みも働くフェリックス男爵を主人公とした。

 9年目と若いながらも、男役らしいたたずまい、骨太な芝居が魅力の珠城らしく、この日のけいこも堂々とした舞台運び。男爵と対をなす会計士オットーは、涼風の大ファンで、退団公演にも何度も通った美弥(みや)るりかが、あこがれの先輩の役柄に臨む。

 来年1月1日、新年初日が開幕。珠城はトップ就任後、すでに東京、大阪で「アーサー王伝説」に主演しているものの、本拠地での初センターが待つ。

 珠城は、けいこ途中の取材会で「これだけ大きな劇場で、しかも正月公演。(初日は)想像したり、イメージしたりしないようにしています。そのとき、その状況でしか感じないこともある。どんな世界が見えるのか、楽しみにしています」と話しており、希望を胸に新年の初日を迎える。

 ショーの「カルーセル輪舞曲」は、日本初のレビュー「モン・パリ」誕生から90周年記念作。日本を出発しパリに着くまでを描いた「モン・パリ」に対し、パリから宝塚を目指して世界をめぐるバラエティー・ショーになっている。

 宝塚公演は来年1月1~30日、東京宝塚劇場公演は同2月21日~3月26日。