宝塚歌劇団の元星組トップで女優の北翔海莉(ほくしょう・かいり=35)が27日、大阪市内で、退団後初舞台となるミュージカル「パジャマゲーム」の取材会を開き、女性“転向”に戸惑いを見せつつも「新しい北翔を作りたい」と語った。

 退団から3カ月。「まだ、スカートを1枚も買ってません…」。中学を卒業後、宝塚音楽学校を経て、劇団に入り21年、男役を追求してきただけに「これから女性として生きていけるんだ! と思ったんですけど、どこからどう手をつけたらいいか…」と、率直に近況を報告した。

 今作は、ロンドンの新鋭演出家、トム・サザーランド氏が手がける名作ミュージカル・コメディー。パジャマ工場を舞台に「7セント半」の賃上げと恋をめぐるドラマを描く。北翔は、労働組合リーダーの女性・ベイブを演じ、新納慎也ふんする新任工場主任と敵対しながらも、後に恋に落ちてしまう役柄だ。

 「なんか、抵抗はありますよね。今までは私が(男役として娘役を)受け止める方だったので、自分から手を出さないようにしないと(笑い)。ほんとにどうしましょ? でも、ベイブ(役柄)も、仕事一筋で恋には不器用な設定なので、そこは逆にいいんじゃないかとも思います」

 劇団時代も、仲間との食事よりも、自分の技術を磨くけいこを優先。「男役一筋」だった北翔自身とも重なる。さらにリーダー役としては、トップとして組を引っ張ってきた経験も生きるだけに、演出のトム氏も「世界中に北翔さんほど、ベイブ役にぴったりな人はいないんじゃないか」と話していた。

 公演は9月25日~10月15日に東京・日本青年館ホール、10月19~29日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで行われる。