河瀬直美監督(47)と永瀬正敏(50)が27日、都内で行われた映画「光」(5月27日公開)完成披露試写会で、第70回カンヌ映画祭(5月17日、フランスで開幕)の最高賞パルムドールを争うコンペティション部門にノミネートが決まり、涙し合ったと明かした。

 河瀬監督は冒頭で、フランスのプロデューサーから出品内定の連絡を受けた当時を振り返った。

 河瀬監督 (完成までの道のりは)難産でした。ここまで来るのに、くじけそうなこともたくさんあった。(中略)実はフランスが深夜になるかならないかの時間に、フランスのプロデューサーから電話があって…日本は明け方でした。聞いた瞬間に、自宅のリビングに太陽の光が差し、その光景を見て、光というものは世界をめぐるとんだいう感覚で号泣しました。

 そして永瀬も、河瀬監督から連絡を受けた瞬間の、自身の反応を明かした。

 永瀬 監督から決まったという言葉を朝早くいただいた時、ずっと号泣されていて…僕はありがとうございます、おめでとうございます、ありがとうございます、おめでとうございます、と繰り返して、聞き終わった後、号泣しました。監督の思いが伝わって…選んでいただけるのは、それだけ大変なことだと思う。

 河瀬監督は、電話した時間が午前6時くらいだったにも関わらず、永瀬が「1コールで出ました」と言い、笑った。

 「光」は、15年にカンヌ映画祭ある視点部門のオープニング作品として上映された、前作「あん」に引き続き、河瀬監督が永瀬とタッグを組んだ。永瀬演じる弱視の天才カメラマン中森雅哉と、水崎綾女(28)演じる映画の音声ガイド制作者・尾崎美佐子が出会い、音声ガイドの製作過程で衝突を繰り返しながらも互いの心を通わせ、雅哉の目が見えなくなることを知りながらも、美佐子がその内面にひかれていく物語。

 永瀬は、試写を見た感想について聞かれ「監督と感謝の握手をした後、1人になりたくて、試写室を出て…自分の中でかみ締める、消化する時間がほしかった。遺作を見たような気分になった。本当に全てを、監督の描かれた映画に置いてきました」と語った。

 この日、舞台あいさつに登壇した河瀬監督、永瀬、水崎と神野三鈴(51)、藤竜也(75)がカンヌ映画祭に参加する。受賞結果は最終日の5月28日(日本時間同29日)に発表される。【村上幸将】