木村拓哉(44)の主演映画「無限の住人」(三池崇史監督)が公開初日を迎えた29日、北米、オーストラリア、ドイツでも公開されることが分かった。5月17日(日本時間18日)に開幕するカンヌ映画祭で特別上映され、さらなる上映国の拡大に向け、各国の配給関係者への本格的なセールスも現地でスタートする。木村の主演映画が、本格的に海外公開されるのは「武士の一分」以来。同作は06年に日本公開後、08年にロサンゼルス、シカゴなどで上映された。「無限の住人」は早々と海外公開が決まるなど、期待はさらに大きい。

 海外での評価が高い三池監督の実績と、カンヌ映画祭で特別上映される前評判がポイントになった。三池作品は「一命」「藁(わら)の楯」など5作品がカンヌ映画祭で上映されたほか、「十三人の刺客」がベネチア映画祭コンペティション部門に選出された。欧米の他の映画祭で受賞経験もある。

 また今回は製作陣に、「戦場のメリークリスマス」「ラスト・エンペラー」などを手掛けたジェレミー・トーマス氏がプロデューサーとして参加しており、実績を生かして海外セールスを担当している。同氏は「世界中の人を興奮させ、心を打つに違いない」と作品の完成度に自信を見せる。

 関係者によると既に公開が決まった4つの国と地域以外へのセールスは、カンヌ映画祭を皮切りに、本格始動させる。映画祭期間中は、作品を売買するマーケットが設けられ、各国関係者が配給交渉を行う。前評判に加え、現地での上映の反響も交渉のカギを握る。木村は三池監督らとカンヌ映画祭に参加予定で、主演俳優として現地に乗り込んで作品をアピールする。昨年末にSMAP解散後、俳優として飛躍を目指す勝負の年に、いきなり世界に本格進出する絶好の機会を得た。【小林千穂】