【ロサンゼルス8日(日本時間9日)=大友陽平】EXILEのリーダーHIRO(47)が初プロデュースした映画「たたら侍」(錦織良成監督、20日公開)のハリウッドプレミア上映会が、エジプシャンシアターで行われた。日本公開直後となる来月2日から、カリフォルニアをはじめ、ニューヨーク、ワシントンなど全米9州12都市での上映が決定。HIROは、今年から本格化させている米国展開にも「いいスタートが切れた」と笑顔を見せた。

 2時間の上映が終わると、ロスで一番古い映画館が600人の大きな拍手で包まれた。アカデミー賞会員や映画プロデューサーら、目の肥えたハリウッドの面々が集う中、初めて映画をプロデュースしたHIROは「皆さんの反応が良くて感動しました。(受けた感覚が)クセになりそうですね」と笑顔を見せ「僕らの新しいエンターテインメントの道が開けました」と自信を深めた。

 同作品は、戦国時代の島根・奥出雲を舞台に、名刀を生み出す鉄の玉鋼(たまはがね)を作る伝統技術「たたら吹き」を継承し守ることを宿命付けられた主人公の成長を描いた時代劇。昨年9月に「モントリオール世界映画祭」のワールド・コンペティション部門で最優秀芸術貢献賞を受賞するなど、海外で19の賞を獲得。米国でも、日本での公開から2週間と異例の早さでの公開が決まった。主演の青柳翔(32)も「公開前からすてきな場所で上映できてうれしい。日本でもたくさんの方に見ていただきたいです」。

 HIROが率いる「LDH」は、エンターテインメント企業として、芸能マネジメントを中心に行ってきたが、今年から海外での展開を本格化させている。米国ではこれまでもニューヨークでダンススクールなどを展開してきたが、今夏新たに、ロスにダンススクールと炉端焼き店をオープンさせるほか、新人発掘も行っていく。この日の昼には、在ロサンゼルス日本国総領事公邸を訪問した。年内には、ロス市内に日本の文化を伝える施設「ジャパンハウス」が開館予定と、機運も高まっている。

 千葉明総領事(57)から「日本の映画、音楽などのコンテンツ産業は大きな伸びしろがある。世界のエンターテインメント産業の都・ハリウッドへ飛躍することが、私の夢でもあり、日本の未来」と言葉を掛けられると、HIROも「日本でやってきた総合エンターテインメントが米国でどう通用するか。初心を忘れずに、どんどん挑戦していきたい」と話した。

 ◆エジプシャン・シアター 1922年にオープンしたロサンゼルスで一番古いとされる老舗劇場。ハリウッドで最初にプレミア試写会(「ロビンフッド」)が行われ、レッドカーペットも行ったといわれる。その後も「ベン・ハー」や「マイ・フェア・レディ」などのプレミアが行われた。98年にリニューアルオープン。古代エジプトの神殿をイメージした外観が特徴。