大麻取締法違反容疑(所持)で現行犯逮捕された歌手田中聖容疑者がKAT-TUNのメンバーだった当時、何度か取材する機会があった。

 東京ドーム公演のステージで、ごう音を立ててバイクを乗り回すなど、やんちゃキャラで知られていたが、やさしい一面を何度か垣間見た。

 1つは、兄としてのやさしさだった。聖容疑者は5人兄弟の次男。四男のジャニーズJr.田中樹(じゅり)と舞台で共演したことがあった。「カンパニーの中に実の家族がいるのはやりづらい。心配の方が大きい。本番に入るまで心配で心配で」。そんな樹を、仕事場まで車で送迎することもあった。車の中で「声の出し方、手の置き場所とか気になっちゃって。お前、こうした方がいいんじゃね」と注意したこともあったという。

 樹がある先輩のコンサートにバックダンサーとして出演した際も、ハラハラしながら会場から見守っていた。「親心みたいな気持ちになる。おい、よそみすんな! とか、すごい気になる」と話していた。

 動物もかわいがった。犬、さる、うさぎ、フェレットなどたくさん飼っていたが、全てのペットの写真を自宅の寝室のコルクボードに貼っていた。ペットを「子供たち」と呼び、休みはずっと一緒に過ごした。アイドルとして多忙な生活を送っていた時も、たくさんのペットの世話を、自分でみていた。「いつも子供たちは焼きもちを焼くから、全員抱っこする。家に帰ってから世話するだけで、2、3時間はかかる。オレは寝なくても死なないけど、こいつらにエサあげないと死んじゃうから」。

 ジャニーズアイドルの中で、異色のやんちゃキャラは確かに目を引いた。ただ個人的には、やさしい一面も、印象深く記憶に残っている。