児童養護施設を舞台にした日本テレビ系のドラマ「明日、ママがいない」(水曜午後10時)について、全国児童養護施設協議会が21日、厚労省で会見し、子供をペット扱いした表現、暴力や暴言で恐怖心を与える場面などについて改善を求めた。前日文書を郵送したという。今後改善されない場合、放送、撮影中止、スポンサーへの抗議も含め、強い申し入れをするとした。

 全国約600施設で作る同協議会の藤野興一会長は「いかにフィクションであるとはいえ、当事者の子供たちにとってはしんどい。自殺者が出たらどうしてくれるんだという思いです。(主演)芦田愛菜ちゃんが小学3年生だからだと思うんですが、同じ学年の子供が『お前が主人公か』と根掘り葉掘り聞かれるケースも出ている」と強く抗議した。

 同協議会は、放送前に予告を見た段階から内容を危惧していたという。昨年12月、初回放送分の台本を送ってもらい、読んだ上で日テレに改善を求めた。しかし藤野会長は「検討するという返答だったが、何も変わっていなかった」。台本と放送は場面の入れ替えがある程度で、ほぼ変更はなかったという。

 また、放送直前に日本テレビから、番組ホームページに掲載するため、養護施設の実態、法律を説明する原稿の依頼があったことも明かした。

 「要は『家なき子』以来のすばらしいドラマを作るので協力してほしいということだったが、それは虫が良すぎるでしょう。(原稿を)出したらドラマを認めたことになる」

 会見には全国里親会の星野崇会長も出席し「すでに傷ついている子供がいる。(つらい経験が)フラッシュバックしてしまう」と話した。