覚せい剤取締法違反などの罪で有罪が確定した歌手ASKA(本名・宮崎重明)に合成麻薬MDMAを譲渡として、麻薬取締法違反容疑で逮捕・起訴された指定暴力団住吉会系組幹部の安成貴彦被告と、ASKAの知人で無職の柳生雅由被告の初公判が21日、東京地裁で行われた。

 紺のスーツ姿で現れた安成容疑者は、「身に覚えのない話です」と声を震わせ、容疑を否認した。上下グレーのスエットを着た柳生容疑者は「(ASKAに)会いましたし、家には行きました。でも、私はお菓子を渡しに行っただけです。共謀はしていません」と早口で話し、容疑を一部否認した。

 検察側によると、被告2人は共謀し、今年3月に東京・目黒区内のASKAの自宅で、5月には都内の路上に止めた車の中で、ASKAに合成麻薬MDMAや覚せい剤などを売ったという。覚せい剤を手配するのは安成被告、実際にASKAに手渡すのは柳生被告の役割だった。

 柳生被告は、ASKAに渡したものが覚せい剤や麻薬だとは知らなかったと言い、3月に渡したのは「ポテトチップス」、5月に渡したのは「ポッキーです」と答えた。

 柳生被告の弁護側は、「打ち合わせと違うことを言ってしまっているので、お時間いただいて、あらためて認否の確認をしていただきたい」と発言。これを受ける形で、詳しい証拠の確認などは行われなかった。