覚せい剤取締法違反(所持、使用)で起訴された酒井法子被告(38)が17日保釈され、都内で会見する。保釈決定から3日たった16日も保釈を見送ったが、受け入れ態勢が固まったことから40日ぶりに拘置された警視庁東京湾岸署を出る。この日、夫で自称プロサーファー高相祐一被告(41)が保釈保証金500万円を納付し、保釈された。「すべての責任は私にあります」と頭を下げたが、見物人の男から靴を投げられるなど大騒ぎの中、45日ぶりに渋谷署を出た。

 夫の高相被告が一足先に保釈されたこの日、酒井被告も保釈を決めた。14日に保釈が決定し、翌日に保釈保証金の半額250万円が納付されたが、残りはこの日も未納付のまま。その間、担当弁護士を中心に協議された保釈後の酒井被告の受け入れ態勢がようやく固まった。17日に残り250万円を納付し、逮捕された8月8日以来拘置された東京湾岸署を出る。そのまま都内で会見を開き、ファンや関係者などに謝罪する。

 一時は「落ち着いてから出たい」と供述した酒井被告だが、逮捕から40日を迎えてもアイドル「のりピー」のイメージとは懸け離れた事件への関心は増すばかりだ。この日、渋谷署で高相被告の保釈を取材した報道陣は150人以上。やじ馬も約100人、警官30人でごった返し、上空には数機のヘリが旋回した。午後5時12分、渋谷署正面玄関に高相被告は出てきた。

 8月3日に渋谷・道玄坂の路上で逮捕され45日ぶりに外に出てきた同被告は、規則正しい生活のせいか覚せい剤を使っていた逮捕前よりふっくらとした印象だった。黒とグレーで上下をそろえ「PUNK」と書かれた帽子のツバには、クラブでDJを務める時に使う名前らしき「CASPPER」という文字が入れられていた。手の甲のタトゥーを隠すように、指の部分がない革手袋を着けていた。

 目が泳ぐほどのフラッシュが浴びせられると、周囲の関係者と目配せを交わし、帽子を取って頭を下げた。そして「今回のすべての責任は私にあり、自分が悪いと思っています。皆さんにご迷惑をかけ、不愉快な思いをさせてすみませんでした」と再び頭を下げた。レンタカーとみられる車には長い拘置生活を表すように、紙袋3つ分の所持品が積まれた。高相被告は渋谷署を出た後、恵比寿ガーデンプレイス付近で車を降りた。その後、新宿方面に向かったとの情報がある。

 高相被告が乗った車が署の敷地を出る時、突然「高相、家族を守れよ!!」という怒号とともに、黒い靴が車に投げ付けられた。投げた男性はすぐに警官に身柄を確保された。同署によると、男性は40代で、酒井被告の熱烈なファンというわけでもないという。車の持ち主から被害届が出ない限り逮捕はされず、署の広報担当は「身元を聞いて必要があればまた呼びます。投げた靴は回収したので、取り調べの後、履いて帰ってもらいます」と話した。男は1時間後に解放された。ブッシュ大統領(当時)がイラク訪問中に現地記者から靴が投げられる事件があった。日本ではアイドルと薬にまみれた夫に「非難の靴」が投げられた。

 高相被告は10月21日、酒井被告は10月26日に初公判が東京地裁で開かれ、司法の判断を仰ぐ。

 [2009年9月17日8時25分

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