ロック歌手忌野清志郎さん(享年58)の一周忌にあたる2日、東京・八王子市の高尾霊園高乗寺に墓が完成したことが分かった。また、この日、宮城・川崎町のエコキャンプみちのくで開催された「ARABAKI

 ROCK

 FEST」では、清志郎さんのデビュー40周年イベントとして仲井戸“CHABO”麗市(59)や泉谷しげる(61)ら、ゆかりあるアーティストが集結し、清志郎さんの名曲を歌った。

 清志郎さんらしい、派手でユーモアな墓が、ついに初披露された。1年前にがんで亡くなった後、遺骨は自宅の霊前に置かれていた。遺族が「パパらしいお墓にしよう」と希望し、墓石に清志郎さんのブタのイラストを施し、“ひとはたウサギ”のモニュメントも設置された。大がかりなために一周忌の直前の4月30日にようやく完成。関係者は「場所は清志郎さんの故郷の三多摩。無宗教だったので、どんな人でも参れます。香炉にブタが彫られるなんてらしいでしょ」と説明した。霊園内でもひときわ目立つように建てられた。

 一方、清志郎さんが、闘病生活に入る直前まで出演していた宮城・川崎町のロック・フェスには、不思議な現象が起きた。09年5月2日未明に病院で家族とともに清志郎さんをみとった元RCサクセションの仲井戸(通称チャボ)が観客に問いかけた。「見たヤツいるか?

 昼に虹が出たんだ。オレはそういうの信じないんだけど、清志郎がのぞきに来てる気がしたんだ」。同4日の清志郎さんの密葬での出棺時には珍しい2本の虹が、同9日の一般用の告別式前にも大きな虹がかかっていた。当時、「虹を渡って天へ昇った」と言われた清志郎さんが「1年たって降りてきた」と、チャボは感じていた。

 この日のチャボは、清志郎さんとバンド仲間だった約25年前をほうふつさせるようにバンダナ姿で登場した。清志郎さんの顔を写したTシャツの泉谷や、奥田民生ら後輩ミュージシャン、会場を埋めた約2万人のファンと名曲「雨あがりの夜空に」を大合唱した。

 「もう1年…。長かったようで、遠いことのようで…。やっぱりあっという間だね…」とチャボ。寂しさは消し去りようがない。でも「清志郎の歌(皆で)歌っていきたいよね」。そして、指さした天を何度も見上げた。「バンドやってるヤツは、この曲をやってくれよな!」。どんなに時が流れても相棒や後輩ミュージシャン、ファンが、清志郎を歌い継いでいく。【瀬津真也】

 [2010年5月3日13時19分

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