「流し目王子」と呼ばれる天才女形役者の早乙女太一(18)が本格的な男役に挑戦する。テレビゲームが原作の舞台「薄桜鬼(はくおうき)(仮題)」(10月1日開幕、天王洲銀河劇場)で、主演の新選組の土方歳三を演じることが13日、分かった。また、同舞台では、ロックバンドORANGE

 RANGEのボーカルRYO(24)が俳優デビューする。

 大衆演劇で9歳から女形を演じてきた早乙女が、今度は新選組の中でも“鬼の副長”と異名を取った土方を演じる。「僕ならば、てっきり女性説もある沖田総司役だと思っていました。男っぽい土方役に驚きましたが、うれしいです」。

 テレビゲーム原作の舞台は、既存のゲームファンへの集客力があるため、無名の新人俳優を抜てきすることが多い。しかし、西宮貴子プロデューサーは「優れた原作は、優秀な俳優で舞台を作りたい」と、「薄桜鬼」の主演を探していた。09年の舞台「MISSING

 BOYs」で、早乙女が尾崎豊をモチーフとしたカリスマロック歌手を演じた姿に一目ぼれ。「声は優しいけど、芯の強さを感じて、男っぽさやセクシーさが必要な土方にピッタリでした」。舞台化の構想を練り、4月にオファーした。

 早乙女にとっても、渡りに船の仕事だ。「皆さんには女形として知ってもらっていますが、これからは男役を柱にして俳優活動していきたいと思っていたところでした」。身長も173センチに伸び、筋肉質な体つきの素顔は、むしろ男っ気が漂う。共演者も、黒川智花(20)や木村了(21)と、テレビや映画で活躍中の同世代。「そういう人たちと共演するのは、ほとんど初めて。今後はテレビや映画もやりたいので楽しみです」。役者人生の分岐点になりそうだ。

 [2010年5月14日6時29分

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