10日に肺がんのため亡くなった劇作家つかこうへいさん(享年62)の代表作で、8月6日に初日を迎える「広島に原爆を落とす日」(同22日まで、東京・渋谷シアターコクーン)が追悼公演の形で上演されることが13日、分かった。

 「広島-」は79年に初演され、海軍少佐犬子恨一郎と髪一族の百合子の愛を通して、広島への原爆投下のなぞに迫るスペクタクルロマン。つかさんが亡くなった10日に主演の筧利夫ら出演者、スタッフによる初の顔合わせが行われ「つかさんが元気になることを願って私情を交えて参加させていただく」と奇跡の復活を祈り合っただけに関係者のショックも大きかった。

 公演中は劇場ロビーの一角につかさんの遺影と花を飾り、つかさんにあてたメッセージも展示するという。つかさんは、遺書で「通夜、葬儀、お別れの会等も一切遠慮させて頂きます」と記している。しかし、年内のつか作品の上演予定は「広島-」だけとあって、関係者は「再演については、つかさんから『好きにしてかまわん』とお墨付きをもらった。つかさんの名に恥じない舞台にしたい」と話している。

 一方で、つかさんが代表を務めた「北区つかこうへい劇団」の来年度以降の活動について、東京・北区文化振興財団は「未定」と話している。94年発足の同劇団は北区から毎年数千万円の補助金を受けて活動し、過去に石原良純、内田有紀、黒木メイサらも在籍。毎年オーディションで劇団員を募り、演劇教室、児童教室も開催した。つかさんが亡くなり、8月の「新・蒲田行進曲」公演は中止となった。今後の劇団活動について、財団側は「来年度の補助金は今後の話し合いで決まる。劇団存続については未定とさせていただきたい」と話した。

 [2010年7月14日10時4分

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