俳優松平健(56)の妻で元女優の松本友里さん(42=本名・鈴木友里子)が15日午前、東京・目黒区内の自宅で首をつって死亡した。同日午前3時ごろ、自室で首をつって死んでいるのを泊まり込んでいたベビーシッターが発見した。自殺とみられる。友里さんは今年6月に実母がなくなり、周囲に「死にたい」ともらすなど精神的に不安定だったという。6日から福岡・博多座で公演中の松平は急きょ帰京したが、険しい表情で無言を通した。

 友里さんは首をつって死んでいた。15日午前3時ごろ、自室ドア上部の金属製のストッパーに電気コードをかけて首をつっているのを泊まっていたベビーシッターに発見された。友里さんは119番通報で駆けつけた救急隊員によって病院に搬送されたが、死亡が確認された。今年6月に宝塚歌劇団のスターだった母親の鈴子さんが亡くなり、心労から周囲に「死にたい」と話すなど精神的に不安定だったという。遺書などの有無は不明だが、警視庁碑文谷署は自殺とみて調べている。

 夫の松平はこの日、福岡・博多座で「忠臣蔵」「唄う絵草紙」の2本立てで公演中だった。発見直後に連絡を受けたが、午前11時から昼の部の公演があった。松平は紺野美沙子ら共演者には妻が亡くなったことを知らせず、通常通り舞台に立った。「忠臣蔵」で大石内蔵助役を熱演し、ショーでは「マツケンサンバ」も歌い踊った。

 終演後は空港に直行し、午後5時半ごろ羽田空港に到着した。革ジャンに顔の半分を覆う白いマスク姿の松平は50人を超す報道陣にもみくちゃにされた。「奥さんが亡くなった原因は」「今の気持ちは」などの質問が飛んだが、無言を通し、疲れ切った表情でタクシーに乗り込んだ。

 友里さんは俳優天野新士と宝塚OGの和歌鈴子さんの長女として生まれた。アイドル歌手から女優に転身。91年にテレビ朝日「暴れん坊将軍」で松平と共演。98年には舞台版「暴れん坊-」でも共演した。松平が90年に結婚した大地真央と離婚した04年、友里さんが松平の公演を観劇したのをきっかけに交際に発展し、05年に結婚した。06年10月には第1子となる男児(4)が生まれていた。

 松平は仕事を終えるとすぐ自宅に帰るなど、子煩悩な父親ぶりを見せていたが、友里さんの両親は離婚し、母鈴子さんは松平宅に同居していた。友里さんは子育てなどで母を頼りにし、どこへ行くにも母娘一緒。長男の幼稚園受験でも母がサポートした。しかし、母は病気で今年6月末に他界。松平は義母の死を公表せず、密葬の形で葬儀は行われたが、直後から友里さんは体調を崩していた。周囲に「死にたい」と話すこともあったという。

 松平は6日初日の博多座公演のため2日に東京を離れていた。松平は妻の遺体と対面した後、午後9時半発の便で再び福岡に戻った。羽田空港では「ごめんなさい」「すいません」と言いながら飛行機に乗り込んだ。今日16日は昼夜2回の公演を行い、その後、再び帰京する。葬儀日程は未定だが、30日までの公演後の可能性もあるという。

 [2010年11月16日8時11分

 紙面から]ソーシャルブックマーク