「第52回

 輝く!

 日本レコード大賞」の審査委員会が19日、都内で行われ、各賞が決定した。最優秀歌唱賞には「心

 ざんばら」を歌う近藤真彦(46)が選ばれた。今年デビュー30周年の近藤は過去に大賞、最優秀新人賞も獲得。史上5人目の3冠歌手として、金賞(現優秀作品賞)を受賞した88年以来22年ぶりにレコ大のステージに立つ。また、レコ大と一線を画していたジャニーズ事務所のタレントが同賞にかかわるのは90年の忍者以来20年ぶりで「ジャニーズ復帰」が話題になりそうだ。表彰式は12月30日に行われ、TBS系で生放送される。

 マッチは、最優秀歌唱賞受賞の資格がある計37人(組)の中で、多数の支持を得た。最優秀新人賞(81年)大賞(87年)に続く受賞で、レコ大の主要3冠を手にした。マッチは所属のジャニーズ事務所を通じて「マッチが歌うことで褒美をもらえるなんてすごい!!」とコメントした。

 意味深い受賞だった。デビュー30周年の今年2月に発表したロック調の「心

 ざんばら」(フォーク調の「恋

 ざんばら」は別バージョン)を「見事に表現した」と評価された。同曲は「おふくろさん」で知られる故川内康範氏が89年に「近藤真彦に歌わせたい」と作詞したもの。大切な人を失った男の心情が鬼気迫る思いでつづられていた。

 ♪かたちだけだよ

 生きているのは

 彼女(あいつ)なくして

 あれからあれから

 古びた恋をひきずりひきずり…

 マッチは86年11月24日に最愛の母美恵子さん(享年42)を交通事故で亡くした。そして87年のレコ大直前に、母の遺骨盗難事件が起きた。「レコード大賞を辞退しろ。辞退しないとどうなるか、横浜の墓の下をよく見てみろ」という脅迫電話、脅迫文が届いた。

 マッチはその事実を知りながら「きっとお母さんなら辞退するなと言うと思う」と、事件を公にせずステージに立ち「愚か者」で大賞を受賞、号泣した。当時は、感激の涙と言われたが、「大賞を取れば遺骨は戻らないかもしれない」という絶望の涙でもあった。

 ジャニーズ事務所の藤島メリー副社長は、当時23歳のマッチに「まだ歌わせられない」と「ざんばら」を保管。30周年の節目を迎えた今年、その封印を解いた。マッチも「『ざんばら』と出会い、自分を覆っていた目に見えないフィルターがスッとなくなった。過去に対しても話ができるようになった」と話していた。

 30日のステージではジャニーズの後輩の応援を得て3冠曲をそれぞれ歌う演出になりそうだ。母の遺骨はまだ見つかっていないが「24日の母の命日にも胸を張って報告できます」というマッチは、きっと感激の涙を流すだろう。

 [2010年11月20日8時58分

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