【ニューヨーク25日(日本時間26日)=近藤由美子】人気ロックバンド、ラルク

 アン

 シエルが音楽の聖地、マディソン・スクエア・ガーデンで日本人初の単独公演を成功させた。4年ぶりの世界ツアーの一環で、米国公演は初めて。1万2000人の地元ファンから、合唱やウエーブで熱烈な歓迎を受けた。

 アンコール直前。スクリーンにローマ字で表示された歌詞が映ると、会場で大合唱が始まった。観賞者の9割が地元ファン。口笛、手拍子、足を踏みならすなど、思い思いのスタイルでアンコールを呼び掛けた。ウエーブも何度も起こった。「It

 was

 fun!(楽しかった!)」とあいさつしたhydeは、熱いリアクションに「想像以上」と言葉を弾ませた。

 世界ツアーは、3日に香港から開始。欧米を含む10カ国・地域17公演で45万人を動員する最大規模のツアー中だが、音楽の聖地での公演は別格だった。普段は「日本でいいと思うことを届けることが重要」と強調する同バンドだが、hydeは「覚悟が違った」。演出も変更した。「XXX(キス・キス・キス)」などヒット曲の英語バージョンも初披露。火を使った演出も取り入れた。

 その人気は、アニメ文化をきっかけに、世界に浸透しつつある。主題歌「READY

 STEADY

 GO」を歌った人気アニメ「鋼の錬金術師」は、04年から2年間、米アニメ専門チャンネルで放送。同様に主題歌を手掛けた同アニメ劇場版は昨年米国公開された。

 人気に後押しされ、ステージも変更された。当初はマディソン・スクエア・ガーデンの収容5000人のシアターだったが、最大2万人を収容できるメーンのアリーナに変わった。同所での公演はアジアのアーティスト初の栄誉だ。また日系人が多い南米でも人気は高く、チリの牛乳のCM出演依頼も受けた。この日もブラジルやベネズエラの国旗を持ったファンが会場入りしていた。

 メンバーは終演後、浮つくことなく冷静に受け止めていた。会場の都合で準備は当日1日だけ。本番中に音響トラブルもあり、tetsuyaは「ベストなラルクを見せられなかったのが悔しい」と振り返った。hydeは「今日は戦いだった。日本の旗を持ってきたような気がしました。『試験』が終わるまで不安があったけど、日本語の歌を歌ってくれて感動しました。80点ぐらいかな」。今後ロンドン、パリなどを駆け抜ける世界ツアーに弾みをつけた。

 ◆マディソン・スクエア・ガーデン

 1874年に開場。現在の建物は1968年に建設された。NBAのニューヨーク・ニックス、NHLのニューヨーク・レンジャーズの本拠地。アリーナとシアターなどで構成され、世界で最も有名なアリーナといわれる。世界中のミュージシャンが公演開催を目指す“音楽の聖地”としても知られ、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、マドンナ、ローリング・ストーンズ、マライア・キャリーらが公演を行ってきた。