イチロー外野手(38)のマリナーズからヤンキースへの電撃移籍は、MLB放送権を持つテレビ各局をあわてさせた。各局とも、開幕直前のロンドン五輪に向けて放送態勢が整ったばかり。イチローは27日夜(日本時間28日午前)に本拠地デビューを飾ることが濃厚だが、各局とも現段階で中継は未定。五輪の影響でスタッフ不足の問題を抱えており、各局とも対応に追われている。

 各局とも、ロンドン五輪モードに入った矢先に届いた電撃移籍のニュース。24日朝からNHKや民放各局は、五輪選手を紹介しながら、イチローの移籍会見の映像も繰り返し放送した。名門ヤンキースの一員となったことで、イチローに対する野球ファンの関心度は一気に高まった。

 BS1を中心にMLBの試合を放送するNHKは「移籍は重要なことと受け止めています。視聴者の関心の高さを理解し、期待に応えるような放送の形を考えられたらと思います」とした。

 ところが同局のスポーツ中継は現在、多くのスタッフを割いて、ロンドン五輪の放送に全力を注ぐ態勢になっている。イチローが現地時間27日夜、ピンストライプのユニホームを着てヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムに登場することが濃厚だが、この試合の中継も現段階では未定だ。

 BS1では今後しばらく、ロンドン五輪中心の放送態勢が続く。サブチャンネルを使って、イチローの出場試合を五輪期間中、急きょ設定するにも、人的な問題がある。放送枠を増やすなどの作業が現実化するのは五輪後になるとみられる。

 TBSは、ダルビッシュが優勝争いに絡むことを想定し、同投手の先発試合を9月ごろに放送する準備を進めてきた。イチローの電撃移籍を受け、「ヤンキースも当然、プレーオフなどに関わってくる可能性がある。放送時期、カードを含めて再検討する」とした。フジテレビも「現在、調整中です」とコメント。イチローの出場試合の放送に前向きと受け取れる姿勢を示した。