09年に覚せい剤取締法違反の罪で有罪判決を受けた酒井法子(41)が執行猶予期間を終えて一夜明けた24日、都内で女優復帰会見を行った。取材陣に促され、戸惑いながらも「マンモスうれピー」とのりピー語で復帰の喜びを表現。「どんな質問でも受ける」と覚悟を決めて臨んだ酒井は1時間10分にわたり、事件や薬物に関する厳しい質問にも堂々と応じた。

 法廷での黒ずくめの服装とは対照的だった。酒井はベージュのミニワンピースにパールのロングネックレスを合わせた清楚(せいそ)な服装で登場。発する女優オーラは無数のフラッシュに負けていなかった。「長くつらい日々もありましたが、今日という日を迎えられて感謝しています」。事件から3年。一時は引退も覚悟しながら、女優業を再開できる喜びを表現した。女優を続ける覚悟からか、2カ所(左足首と左手薬指)あったタトゥーも消していた。

 判決後の09年末から創造学園大ソーシャルワーク学部通信課程に入学。在宅で介護の勉強を行いながら、芸能界復帰を決めた理由を「学びの中で、再び表現する側に立ちたいという気持ちが大きくなった」と説明した。復帰作でいきなり観客の前に立つ。罵声を受ける可能性もあるが、「怖さもありますが、集中力とパワーに変えていいお芝居をしたいです」と覚悟を口にした。

 復帰作となる主演舞台「碧空の狂詩曲~お市の方外伝~」(来月15日開幕、東京・渋谷の文化総合センター大和田さくらホール)制作発表を兼ねた会見は2部で構成。前半は共演の今井雅之(51)、プロデューサーの藤田大邦氏、酒井の所属事務所社長の広瀬洋二郎氏が同席。後半は今井が退席し、酒井の復帰会見として行われた。会場に集まったのは約250人。「逮捕後、芸能界に戻る人はいても、逃げた方はいない。逃げた時のお気持ちは」などと、厳しい質問も飛んだ。事件や薬物、子供、大学進学して勉強中の介護など、質問は多岐に及んだ。

 覚せい剤の断ち方については「気持ち1つ、意識1つで離れることが可能。きっぱり断ち切ることができています。信じていただければ幸いです」と説明。カウンセリングなどの治療を受けなかったと話した。その支えだったのは息子とし「守るべきものであることを痛感しました」と唇をかみしめた。現在も大学に在籍中で「何かしらの形にしていければと思います」とし、介護福祉士資格取得などに含みを持たせた。

 事前打ち合わせで酒井は「どんな質問も受ける」と話していたという。涙をぬぐった場面は、長男のことを語った場面など数回程度。右手で白いハンカチを握りしめながらも、質問者の目をまっすぐ見て話を聞き、笑顔で対応した。慌てたのは、タトゥーを消した理由を問われた瞬間だけだった。

 のりピー語で復帰の感想を求められる場面もあったが、戸惑いながらも「のりピーということで、ありがっチュー。マンモスうれピーです。今日という日を迎えられて」と返した。写真撮影ではカメラマンの要望に応じ、笑顔で手を振った。堂々とした対応ぶりは、ブランクを感じさせなかった。【近藤由美子】