英歌手ポール・マッカートニー(71)が今月21日に日本武道館特別公演(日刊スポーツほか主催)を行うことが9日、分かった。ザ・ビートルズが初来日したのは1966年(昭41)。日本中が熱狂し、歴史にその名を刻んだ初来日公演から48年ぶりに、再び武道館のステージに立つ。

 ポールは今月17日の東京・国立競技場公演から来日ツアーを開始。来日中の同21日午後3時から、日本武道館公演を行う。ポールは日刊スポーツにコメントを寄せた。「また武道館に戻れることを、本当にうれしく思っている。僕にとっても特別な場所。何よりも、僕たちが日本で最初に公演を行った場所だしね。当時は武道館で公演を行うことで論争が起きたけど、今では多くのアーティストが使用するようになったようだね」と心待ちにしている。

 武道館は日本のミュージシャンが目指し、世界のロックの殿堂にもなった。それは66年6月30日から7月2日にかけ、3日間で昼夜5公演行われたザ・ビートルズ初来日コンサートがきっかけだった。武道館は64年、東京五輪の柔道会場として建設された。当時「ロックは不良の音楽」という風潮が主流。「神聖な日本武道館で、ロックバンドが演奏することなどけしからん」との意見も出て、ポールが言う通り論争が巻き起こった。

 機動隊も出動する厳戒態勢で、警備上、アリーナ席を設けなかった。「武道館の一番の思い出はスタンドにお客さんが座り、ステージの前に警官隊が列をつくったこと。今度もまたあれを再現したいね!(笑い)。あんな光景は今まで見たことがなかった。お客さんとの間に警官隊が並ぶなんて、僕たちが何をすると思ったのだろう(笑い)。あれは僕にとって本当に特別な思い出だね」。ポールも鮮明に記憶している。

 世界的スターが粋な計らいだ。25歳以下限定でC席1500円を100席分販売する(ぴあのみで販売)。66年武道館公演のC席と同料金。主催者の「ぜひ若い人にも見てもらいたい」との思いから設定された。また、66年当時はなかったアリーナ席は10万円で2000席分用意される。

 今月17、18日の東京・国立競技場公演、同24日の大阪・ヤンマースタジアム長居公演のチケットは完売。野外3公演とは異なり、武道館公演のために特別な演出も検討しているという。長年のファンにも若い世代にも、武道館公演は大きなプレゼントになる。

 ◆66年ザ・ビートルズ日本武道館公演アラカルト(※初日公演に限定)

 ▼警備体制

 初日公演は場内は機動隊300人、私服警官250人、場外は警官と機動隊1800人と計2350人が目を光らせた。装甲車約40台、警察関係ワゴン車、パトカーなど約80台が配備された。

 ▼アリーナ席

 ステージに近づけないよう、1階のアリーナ席には一切観客を入れなかった。

 ▼照明

 開演しても照明を落とすことなく、明るいまま行われた。

 ▼観客

 立ち上がることを禁止され、座ったままで観賞。すべての通路に配置された警官が立ち上がったファンを見つけるやいなやすっ飛んでいき、押さえつける場面も。「ブラボー・ポール」というプラカードも警官に発見されると、すぐに下ろされた。ファンは座ったままで花束を投げ入れることもなく、声援だけが乱れ飛んだ。

 ▼演奏時間

 約30分間で11曲を披露した。ファンは短さに不満を訴えることもなく、終了後は警備隊の指示で速やかに退出した。<66年ビートルズ武道館曲目>(1)Rock

 And

 Roll

 Music(2)She's

 A

 Woman(3)If

 I

 Needed

 Someone(4)Day

 Tripper(5)Baby's

 In

 Black(6)I

 Feel

 Fine(7)Yesterday(8)I

 Wanna

 Be

 Your

 Man(9)Nowhere

 Man(10)Paperback

 Writer(11)I'm

 Down