「よこはま・たそがれ」などで知られる作詞家で直木賞作家の山口洋子(やまぐち・ようこ)さんが6日午前1時6分、呼吸不全のため、都内の病院で死去していたことが15日、分かった。77歳だった。葬儀・告別式は近親者で済ませた。

 関係者によると、山口さんは昨年から肺炎を患い、入退院を繰り返していた。体調不良は数年前から続き、介護を必要としていた。都内の自宅近くの住民は「よく車いすでいるところを見ました」と証言。「よこはま・たそがれ」「夜空」など、五木ひろしのヒット作を共に手掛けた作曲家平尾昌晃氏(76)は、突然の訃報に動揺しながら話した。

 「自分の(07年の)作曲生活40周年コンサートに来てくれたのが、お会いした最後。最近はずっと車いすで、体調がお悪いと聞いていた。『会いに行って激励したい』と言ったら、『大丈夫』と言ってくれたんですが…。今も気が動転しています」

 山口さんは、名古屋市出身で、京都女子高を中退後、15歳で喫茶店、16歳でバーを経営した。57年に東映ニューフェースに合格。同期に山城新伍さん、佐久間良子らがいるが、19歳だった56年には東京・銀座に高級クラブ「姫」を開店し、「銀座最年少ママ」と話題になっていた。ホステス採用の基準は「最低限、私よりきれいで、いい女」だったという。

 ママとして働きながら作詞を始め、1971年(昭46)、五木ひろしが歌った「よこはま・たそがれ」が大ヒット。体言止めを多用した歌詞が評判を呼んだ。五木とのコンビで「夜空」「千曲川」などのヒット曲を手掛けた。石原裕次郎さんの「ブランデーグラス」も作詞した。

 80年代に小説の執筆を始め、「演歌の虫」「老梅」で85年に直木賞。他の小説に「貢ぐ女」「プライベート・ライブ」など。野球ファンで、エッセーや野球評論でも知られた。

 ◆山口洋子(やまぐち・ようこ)本名同じ。1937年(昭12)5月10日、名古屋市生まれ。19歳で開店した「姫」には、金田正一、杉浦忠、野村克也らプロ野球選手、石原裕次郎、小林旭らスター、吉行淳之介、五味康祐ら有名作家が集った。作詞家、作家として活躍した後、エッセイストとしても活動。「あなたのセックスわたしのセックス」など男女の性と向き合った著書を多く残した。