俳優生田斗真(27)がダークヒーロー役に初挑戦する。映画「脳男」(来年2月公開、滝本智行監督)に主演することが11日、分かった。バイオレンスミステリー作品で、感情や痛みを感じない殺人鬼を演じる。人を襲う場面も相次いで登場するため、本格アクションにも初挑戦。抜群のルックスからモテ男役が多かったが、今回の作品で俳優として幅をさらに広げることになりそうだ。

 「脳男」の原作は、作家首藤瓜於氏の作品で、00年に出版されて江戸川乱歩賞を受賞した話題作。感情を持たない美しい殺人鬼の謎を、脳神経外科医や刑事が解明していく過程をスリリングに描き、日本版「羊たちの沈黙」ともいえる傑作ミステリーだ。

 ジャニーズ事務所のタレントとして、演技で存在感を示してきた生田は今回、冷酷な殺人鬼という難役に挑む。演じる主人公鈴木一郎は、並外れた知能、肉体を持ちながら、感情や痛みを感じず、裁かれない悪人を次々と殺していく謎の男だ。これまでさわやかなイケメンを演じる機会が多かったが、製作側は明確な意図を持って起用を決めた。製作関係者は「主人公は感情のない男。無機質な感じを出すため、美しく格好良いことが絶対条件。ジャニーズの中でも特に美しく、俳優として潜在能力が高く役作りもしっかりやってくれる」と説明した。

 映像的な迫力を出すために、人を襲う場面はほとんどが肉弾戦となる。殺人鬼を演じる生田対数十人の激しい対決シーンが大きな見せ場となる。生田にとって本格アクションは初挑戦。滝本監督から「さらにやせてほしい」と指示され、半年前から肉体改造に着手。フィリピノカリ、USA修斗、ジークンドーといった武術の稽古に取り組んだ。体重は減ったが、筋肉量が増えた。関係者は「しっかり鍛えられていて脱ぐとすごい」と話した。

 大規模ロケ撮影も行う。生田が無差別連続爆破犯と対決するクライマックスシーンでは、富山県内にある取り壊しが決まった5階建て総合病院を爆破して撮影する。肉体を使ったアクションと合わせ、CGに頼らない“本物”の迫力にこだわる。撮影は今月上旬から始まっており、生田は「新たな挑戦です。話をいただいてから、この作品にすべてをかけてみようと思いました」と話している。

 ◆「脳男」

 ある地方都市で猟奇的な無差別連続爆破事件が発生。茶屋刑事は犯人の緑川のアジトを突き止めるが、身柄を確保したのは身元不明の男だけだった。共犯者とみなされた男は精神鑑定を受ける。担当の鷲谷真梨子は、感情や表情がなく、痛みや恐怖を感じない男に興味を持ち、真実を探ろうとする。精神鑑定を行う脳神経外科医役を松雪泰子、事件を追う刑事を江口洋介が演じる。