磐田のホームゲームで「絆」を感じました。

 6月25日、ホーム仙台戦の試合前に急性白血病で闘病生活を送っている新潟DF早川史哉(22)への支援金募金活動が行われました。サポーター有志が作成した「頑張れ 早川史哉」の横断幕を背に、ベンチ外になったFWジェイ(34)MF松井大輔(35)らが募金箱を手に立ちました。同時に、隣でもう1つの募金活動が行われていました。「はなちゃんに心臓移植を」と書かれたピンク色の旗の横で、DF石田崚真(20)ら選手たちは募金箱を持っていました。試合開始1時間前のイベント広場で、募金をするサポーターの列は途切れませんでした。

 早川への募金活動は、昨季まで4季に渡って新潟に在籍していたDF大井健太郎(32)や、期限付き移籍で1年半所属していたMF山本康裕(26)が中心となり、選手会に提案したそうです。大井は「医者ではないから、『頑張れ』と声をかけることしかできない。でも、経済的な援助も大事だと思う。苦しい状況で、何かできればと思った。選手たちにも手伝ってもらって、募金活動ができたことはよかった」と話していました。

 もう1つの募金活動が行われていた「はなちゃん」とは、静岡県牧之原市に住む5カ月の岩倉花愛ちゃんのこと。生後しばらくして「拡張型心筋症」を発症。治療方法は、心臓移植しかないそうです。米国での手術が決定したものの、その費用は莫大(ばくだい)。3億1000万円の目標募金金額に向けて、活動を始めたばかりです。クラブの協力を得て、ホームゲームで募金活動を行えることになったそうです。

 選手たちは、どちらの募金活動も気に掛けていました。選手会長のDF桜内渚(26)は「自分たちでできる部分があるなら、行動するべきだと思った。命を大切にして生きる、ということ。少しでも力になることができるなら、すごくうれしいことだと思う」と話していました。

 サッカー選手と、赤ちゃん。どちらも磐田の選手が募金箱を手にサポーターの前に立つことで、注目を集めていました。子どもを持つ親でもある大井は「同じ親として、つらい気持ちは痛いほど分かる。サッカー選手は、回りに影響を与えられる存在だと思う。それは微力かもしれないけど、力になりたい」と明かしてくれました。

 サッカーを通じて、人と人とがつながり、助け合える活動。東日本大震災や熊本地震の際も感じましたが、スポーツが持つ力の大きさをあらためて実感する機会でした。


 ◆保坂恭子(ほさか・のりこ)1987年(昭62)6月23日、山梨県生まれ。埼玉県育ち。10年入社。サッカーや五輪スポーツ取材を経て、昨年5月から静岡支局に異動。J1磐田と、J3藤枝の担当。インターネットで「はなちゃんを救う会」と検索すると、同事務局のホームページが出てきます。トップページに掲載されているはなちゃんの笑顔は、とってもかわいいです。