【ドバイ(UAEアラブ首長国連邦)=18日】日本代表の岡田武史監督(51)が、目指す「接近・展開・連続」サッカーの一時封印を決断した。代表チームは18日早朝、直前合宿地ドバイに到着。初日から2部練習を行った。W杯アジア3次予選バーレーン戦(26日、マナマ)の会場は劣悪なピッチ状態が予想されるため、速いパスを細かくつないで崩す理想の戦術から、ロングパスを多用するパワーサッカーへ方向転換。直前調整とミーティングで選手の意識を変える。

 長旅の疲れをいやす時間はなかった。この日、早朝にドバイに入った日本代表は、初日から午前と午後の2部練習を行った。「到着してすぐにミーティングをやる。まず今いるメンバーで」。出発直前の関西空港で岡田監督はこう話していた。まだACLに出場する鹿島、G大阪勢と稲本をのぞく16人しかいない。しかし、1日も早くアウェーのバーレーン戦限定の特別対策を伝え、実践するつもりだった。

 試合会場のバーレーン国立競技場は劣悪なピッチ状態が予想されている。岡田監督も出発直前に「そういう状況で小さなパスをしてはだめなことぐらい、選手は分かっている」と話していた。これまでの正確で細かいパスをつないで崩すサッカーから、ロングパスを多用するパワープレーなどへ戦術の一時転換が必要になる。決戦まで残り8日。少しでも早く選手と戦略を共有する必要があった。

 ミーティングでは3月上旬に試合会場で代表スタッフが視察したバーレーンの映像を流す。ピッチ全体の様子や、ズームで拡大したものまで幅広い資料映像がある。ピッチ状態をしっかりと頭にたたき込ませた上で、ロングボールを使った攻撃のイメージを持たせるねらいもある。

 前回の政権も含めて岡田監督は日本代表で21試合指揮をとったが、中東での試合は今回が初めて。それだけに入念な準備が必要だった。初日の2部練習はその気持ちの表れ。3月上旬には岡田監督自ら0泊3日の強行日程で、カタール―バーレーンの視察もした。「ドバイでは攻守両方の練習に少しでも早く取り組みたい」。まずは選手の意識改革から着手する。