横浜DF栗原勇蔵(24)が、26日のW杯予選バーレーン戦に向けた日本代表にリストアップされたことが22日、分かった。21日にDF水本が背筋痛を抱え、MF稲本が右太もも肉離れで代表を辞退したことで、代表スタッフから横浜へ「招集」の連絡が入った。招集されれば、オシム監督時代の06年8月9日トリニダード・トバゴ戦以来の代表復帰、23日ナビスコ杯大宮戦(NACK)に出場後、出発することになる。

 サッカー界の「ハマの番長」が、ついに代表に戻ってくる。栗原は03~06年まで横浜で師事した岡田監督によって、W杯3次予選最大のヤマ場になるバーレーン戦に追加招集。今季はJ開幕戦で浦和FW高原を完封するなど絶好調だ。

 21日に水本の背筋痛を受け、岡田監督は「(無理なら)追加招集しないといけない」と話していた。水本が回復しないと、センターバックを本職とする選手は中沢だけとなってしまう。そこで国内屈指の速さと高さを持つ栗原が、かつての恩師のメガネに留まるのは、必然といえる。

 誰が相手でも気後れしない武闘派が、岡田ジャパンには必要だった。2月の東アジア選手権中国戦では、相手のラフプレーに悩まされた末に、MF鈴木が相手選手にのど輪を食らった。同監督はこの場面について「誰も助けにいかないというのはねえ。僕が選手でピッチにいたら、行ってますね」。誰も「応戦」せず、鈴木を「孤立」させてしまったほかの選手の闘争心不足を指摘していた。

 武勇伝に事欠かない栗原なら、岡田監督に物足りない思いはさせない。04年親善試合レジーナ戦では、MFモザルトにひじ打ちで鼻を折られると、大流血おかまいなしに相手に詰め寄り、味方数人がかりで制止された。浦和FWワシントンを「ロサンゼルス」呼ばわりで挑発したことも。新日本プロレスの闘魂三銃士をこよなく愛し、横浜では同僚に“入魂ビンタ”を見舞うのが、大一番の恒例行事。勢い余って、DF松田を脳振とう寸前に追い込んだこともある。

 もちろん、実力も折り紙つき。昨年のバルセロナとの親善試合では、FWエトーを追って後方から猛ダッシュ。完全に抜き去ってパスカットした。バーレーンには、国籍取得で代表入りしたナイジェリア人FWジョンもいる。栗原はマーク役にはうってつけだ。横浜ではDF中沢と3バックを組んでおり、連係に問題はない。実力と闘志を兼ね備えたケンカ番長が、バーレーンとの対決に「緊急参戦」することになる。