日本代表が尾を引く1敗を喫した。W杯アジア3次予選初のアウェー戦となった26日のバーレーン戦を0―1で落とし、2組2位に陥落した。岡田武史監督(51)は、中盤の軸だったMF遠藤保仁(28=G大阪)を初めて先発から外す大胆なさい配で臨んだが、攻撃を組み立てることができずに内容のない敗戦。選手からは不安の声が続出した。同代表はバーレーン戦から一夜明けた27日、チャーター機で帰国した。

 砂漠から舞う砂ぼこりが、目に染みた。金星に沸く敵地のスタジアムを、日本の選手たちはうつろな目で引き揚げた。FIFAランク82位の格下に内容のない試合。「1敗」以上に痛い、日本サッカーの後退すら心配になる敗戦だった。

 選手は不安と、不満を抱き始めた。選手を代えることによる戦術変更について、抽象的な説明しかない岡田采配に対し疑問の声すら上がった。「今まで(オシム体制で)できていたものができない。悪いサッカーだろうが、勝たなければ自分たちの責任」と自嘲(じちょう)気味に言ったのが象徴的だ。

 さらに「この中盤でどう(攻撃を)組み立てるのか。迷いながらやっていた」「(監督との)話が少ないのかも」。試合後もミーティングは開かれず、困惑したまま帰路に就いた。

 岡田監督の賭けは完全に裏目に出た。06年W杯ドイツ大会以降、故障以外では全試合に先発し、チームの核になっていたMF遠藤を初めてスタメンから外した。完全非公開で行われた23日の紅白戦で1度だけテストしていたが「ほとんど機能しなかった」と言う選手もいた布陣だ。

 岡田監督は遠藤外しを「戦術的な理由」と説明した。しかしMF中村俊(セルティック)稲本(フランクフルト)ら欧州組の招集に失敗し、さらに中心的存在を欠いては中盤が機能するはずもなかった。190センチ超の相手守備陣に、サイドから単調なクロスを上げるだけで中央から崩す形は皆無。FW大久保がDFの裏を狙っても、パスを出す選手がいなければ得点は生まれない。高原が負傷欠場するアクシデントはあったものの、行き当たりばったりの感は否めなかった。

 3次予選は6月に4連戦が控える。次の6月2日オマーン戦(国内)で引き分け以下なら、早くも10年W杯へ暗雲が漂ってくる。敗戦を糧にできるのか―。岡田ジャパンが早くも岐路に立たされた。【益子浩一】