日本代表岡田武史監督(52)が「勝利の使者」の復調で余裕を取り戻した。4日の親善試合フィンランド戦(国立)に向けた代表合宿が1日、千葉県内で始まった。右太もも痛で調整が遅れていたMF遠藤保仁(29=G大阪)、左ひざ手術から代表復帰したDF田中マルクス闘莉王(27=浦和)が出場へ向けて元気な姿を見せた。岡田ジャパンではこの2人が先発した試合は負け知らず。1月28日のアジア杯予選バーレーン戦で敗れたばかりだが、11日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦へ向けて、笑顔で「再起動」した。

 バーレーンに完敗した直後の悲愴(ひそう)感は消えていた。岡田監督は約1時間半の練習を見届けると、余裕たっぷりで語りだした。フィンランド戦に向けて「テストしたいことはある。いや、余計なことを言うと(メディアに)たたかれるからね」と軽口をたたき、「(敗戦から)切り替わってますよ。前に向かって進んでいくだけですから」と舌も滑らかだ。

 頼れる主力2人の出場にメドが立ったのが大きい。右太もも痛から調整が遅れていた遠藤は全メニューをこなした。昨年末に左ひざを手術して今年初招集の闘莉王も、大声で盛り上げながら走り回った。岡田監督は「闘莉王は問題ない。ヤット(遠藤)はまだセーブしながらやってるけど、フィンランド戦では半分はテストしたい。筋肉痛に考慮しながら、少しずつ(状態を)上げていきたい」と青写真を明かした。

 遠藤と闘莉王は「勝利の使者」だ。バーレーン戦を含めて岡田ジャパンが過去に敗れた3試合で2人は先発していなかった。つまり、2人が先発メンバーに入れば負けなしだ。遠藤は「監督が言う前に(攻撃のリズムを)選手で変えられるようにしないといけない」とリーダーの自覚をにじませた。闘莉王はフィンランド戦でのフル出場について「そういう気持ちはある」と頼もしい。

 この日、フィンランド代表は練習試合でJ2湘南に敗れた。同代表の「本気度」が気になるところだが、結果を聞いた岡田監督は「反町(監督)の湘南が強かったんじゃないの?」と軽く切り返した。オーストラリア戦の前には欧州組も勢ぞろいする。終始上機嫌の同監督は、大一番に向けてまずは明るく再スタートを切った。【北村泰彦】