日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)が、ゆるんだ空気を引き締めた。7日、新潟市内で親善試合ジャマイカ戦(10日、デンカS)に向けた練習を実施。練習前に円陣を組み、ピッチ内外での規律の重要さを厳しい口調で説いた。朝食の開始時間に選手2人が遅刻したためで、規律を重視する指揮官は「ピッチ内外の細かいところを意識することがゴールにつながる」と訴えかけた。

 神妙な空気が漂った。5000人の観衆が見守る中、練習前の円陣でアギーレ監督が重く響く声で自戒をうながした。選手たちに「細かいところをピッチ内外でしっかり意識してほしいし、それがゴールにつながる。私はそれをよく見ているからな」と説いた。

 この日の朝食で「問題」が生じていた。FWハーフナー、柿谷が朝食開始時間に遅刻。他の選手が部屋まで慌てて起こしに行ったほどだった。一定の時間内に自由に食堂で朝食が食べられたザッケローニ体制から、現体制では全員そろって朝食を食べ始める形に変更。初めての遅刻者だった。

 普段から「私は遅刻がとても嫌いなんです」と話す指揮官にとっては、今回の遅刻事件は見逃せない事態だった。ただ、決して感情をあらわにして激怒するのではなく、あえて静かに諭すように選手を戒めた姿が、選手たちの心に重く響いていた。

 ピッチ内ではチームの基本的な約束事を構築しながらも、選手たちには「監督が与えるのはあくまでオプション。それをピッチで表現するのは選手だから、存分に君たちに力を出して欲しい」と伝えている。始動となった9月の合宿から自由な発想を求めている。一方で、ピッチ外では規律を重視している。

 DF酒井高は「監督はしっかりと見ていると思う。僕らもそれに応えられないといけない」とあらためて自分を律していた。普段は冗談を交えて選手を鼓舞するなど、メリハリのある態度で接する指揮官が見せた厳しい一面が、2度目の合宿でわずかにゆるんだチームの雰囲気を引き締めた。

 「(1月の)アジア杯でベスト23人を選ぶために使う」という年内の親善試合4試合。ベスト23人に入るためにはピッチ内だけではなく、ピッチ外での行動も鍵を握ることになる。【菅家大輔】