日本協会が、不振が続く世代別代表の強化のために「育成アドバイザー」を置く計画が浮上した。霜田正浩強化担当技術委員長(47)が4日、明かした。今年はU-19日本代表が4大会連続でU-20W杯出場を、U-16代表は5大会ぶりにU-17W杯出場を逃し、育成年代の強化計画の再考が求められる状況に陥っていた。日本協会関係者によると、A代表主将として実績のある宮本恒靖氏(37)が「育成アドバイザー」の候補に浮上しているという。

 将来の日本代表につながる育成年代の不振-。日本サッカー界の根幹を揺るがす事態に日本協会は1つのプランを計画した。霜田委員長は「A代表や欧州で経験のある人材を、もう少し(育成年代の)代表の強化のために還元してもらいたい」と明かした。

 U-19日本代表が4大会連続でU-20W杯出場を逃し、U-16代表は5大会ぶりにU-17W杯を逃した。育成年代の低迷は将来に影を落とす。この日、東京・JFAハウスで開催されたJリーグ強化担当者会議でも、育成年代の強化策の再考が激しく議論された。

 そこで浮上したのがA代表などで経験豊富なOBを世代別代表の「育成アドバイザー」に登用する案だ。10月のU-19アジア選手権直前に元日本代表FW中山雅史氏がU-19代表に講義を行ったが、同委員長は「今後は定期的、計画的にできるように」と話した。

 日本協会関係者によると、候補者の筆頭は元日本代表DF宮本氏だという。93年U-17W杯(当時、同世界選手権)、97年U-20W杯(当時、世界ユース選手権)にも出場。日本代表主将として2度のW杯に出場し、欧州での経験も豊富なうってつけの人物だ。

 同委員長は「まだ本人(候補者)には伝えていないが、技術委員会でも人選を話し合っている」と慎重に話したが、Jリーグ特任理事も務める宮本氏本人が受諾すれば、今後立ち上がるU-15代表、U-18代表から「育成アドバイザー」として活動することになる。

 ボールを保持してパスを回す「日本のサッカー」が、育成年代でも堅守速攻の勝負至上主義を掲げる他国に敗れる危機的状況。霜田委員長は「日本のサッカーをやるということに傾倒しすぎた部分がある。代表は世代別も含め勝負が大事。勝つためには何をしていくのかを、より追求したい」と今後の課題を口にした。宮本氏が就任すれば勝つための精神的、経験的な部分を注入することになる。