ブラインドサッカー界のキングになれるか!? ブラインドサッカー日本代表歴10年以上の黒田智成(36=たまハッサーズ)が21日、東京・八王子市の代表強化合宿に参加し、Jリーグ最年長選手の横浜FC三浦知良(48)と同じく「生涯現役」のこだわりを見せた。

 雨音が大きい中、黒田ははっきりと言った。「20年の東京大会の時は41歳。カズさんが48歳で点を取っているんだから、僕もまだまだ現役でしょう。体が持つ限り、現役です」。

 熊本県出身。生後3カ月で左目に小児がんの「網膜芽細胞腫」があると判明し、摘出。6歳の時、右目もがんの疑いがあるとして摘出手術に踏み切った。失明はしたが、アニメ「キャプテン翼」の影響を受け、毎日、実家の車庫で壁蹴りに熱中した。まさに「ボールは友達」を体現していた。「鈴が入っていないボールを蹴っていたので、集中して音を聞かないとボールの行方が分からなかったんです。遊びの中で無意識のうちに技を身に付けていました」。

 中高では陸上や柔道に親しみ、久留米大時代は3段跳びで視覚障害者の世界大会の参加標準記録もクリアした。筑波大大学院修士2年の時、ブラインドサッカーの体験会に参加し、とりこになった。代表歴は10年以上と代表選手の中で最長だ。黒田は言う。「サッカーに年齢は関係ない。ずっと代表でサッカーをしていたいけど、日本のためにも若い選手がどんどん代表入りしてほしい。若い選手に負けないように僕は一層努力するだけですから」。

 黒田の飽くなき探求心が体をコートへ向ける。