J1残留をかけた戦いが佳境を迎える。Jリーグ創設から参戦する「オリジナル10」の清水は年間17位に低迷し、監督交代後も6戦勝ちなし。クラブ史上初となるJ2降格の危機にあるチームは、残り6試合から残留を決めた過去のデータを信じて戦う。

 93年のJリーグ創設からJ1を死守してきた清水が、崖っぷちから残留を目指す。今日26日のホーム広島戦に備えチームは25日、静岡市内で最終調整した。前節浦和戦で敗れたことで残留のボーダーラインとなる年間15位の甲府とは勝ち点差8となった。これ以上敗戦が許されない状況に田坂和昭監督(44)は「気持ちを1つにして戦う」と切迫した思いを言葉に込めた。

 先月1日の監督交代後もチームは未勝利(3分け3敗)。状況は極めて厳しいが、過去には逆転で残留を決めた「クラブカラー」にまつわる伝説がある。過去10年間のデータを振り返ると、07、08年の大宮が残り6試合の時点で17位から残留。12年は残り5試合で17位だった新潟も最終節で勝利し、降格を回避した。いずれもクラブカラーはオレンジのチーム。当時と勝ち点差や得失点差は異なるものの、望みが消えたわけではない。

 最終節で残留を決めた昨年の苦しさを知る選手も多い。今季チーム最多11得点を挙げているFW大前元紀(25)は「可能性がある限り戦うのが僕らの仕事。自覚を持ってやりたい」。昨季全試合フル出場のDF平岡康裕(29)も「どんな状況でも1人1人が諦めないことが大事」と強調した。

 大敗を喫した前節浦和戦の翌日には選手だけで焼き肉決起集会を開き、それぞれの思いをぶつけ合った。奇跡を起こすべく、「オリジナル10」の清水が残り6試合に全精力を注ぐ。【神谷亮磨】