藤枝順心(静岡・東海1)が、9大会ぶり2度目の優勝を飾った。過去2度優勝の神村学園(鹿児島・九州1)に3-2で競り勝った。

 前半3分、FW肝付萌(3年)が左からドリブルで持ち込み、右足で先制ゴール。直後に同点に追いつかれ、同21分には逆転されたが、後半15分に再び肝付がゴールネットを揺らした。混戦の中で出てきたループパスに反応し、DFとGKの動きを見極めて左足ボレーで決めた。

 後半21分には肝付が左から持ち込み、右サイドから走り込んできたDF安部由起夏(1年)にラストパス。安部が思いきり良く右足を振り切り、相手GKの頭上に打ち抜く逆転決勝ゴールを決めた。

 その後も11人が集中を切らさず、1点差を守り切った。準決勝まで6得点で得点王になったエースFW児野楓香(3年)も、右膝の痛みをこらえながら奮闘。肝付の先制点を演出するなど活躍した。

 伝統のパスサッカーを貫いて再び栄冠を手にした多々良和之監督は「決勝は自分たちのサッカーをやれば、勝てると思っていました。不安を抱えながらのスタートでしたが、試合を重ねるごとに選手がたくましくなっていきました」と言い、喜びをかみしめていた。

 高校サッカー、Jリーグと全国制覇から遠ざかり、「サッカー王国静岡」の危機が叫ばれていたが、2020年東京五輪への希望も抱かせる「なでしこ候補」の藤枝順心イレブンが、その威信を取り戻した。