5年ぶりにJ1に復帰した札幌に、新たな“メッシ”がやって来た。「タイのメッシ」の異名を取るタイ代表MFチャナティップ・ソングラシン(23)が10日、札幌市内で入団会見を行った。背番号18で、7月1日に選手登録予定。札幌では「ベトナムのカズ」ことFWレ・コン・ビン、「インドネシアのメッシ」ことMFイルファンらに続く、Jリーグ史上最多4人目の東南アジアからの選手獲得となった。

 タイ、日本両国から集まった約100人の報道陣を前に、身長158センチと小柄なチャナティップは「初めまして」と、たどたどしい日本語で切り出した。「一生のうち1度は日本でやりたいと思っていたので、夢がかなってうれしい。体が小さいので狭いスペースにも行けるし、ミスなく決定的なパスを送るタイプ」と自己分析し「“J”と呼んで」とアピールした。タイ人初のJリーガー誕生に現所属クラブ、ムアントン・ユナイテッドの関係者は「今日は歴史的な日だ」と興奮気味だった。

 札幌が積極的な東南アジア戦略を打ち出してから、今年で5年目。これまで「ベトナムのカズ」、「インドネシアのメッシ」らが在籍していたが、「タイのメッシ」で同地域からJ最多4人目の獲得選手となる。リオデジャネイロ五輪アジア最終予選で主将を務めたチャナティップは若きヒーローで、会見に駆けつけた12歳上の彼女は、日本を含む3国合作映画でも主演したタイの人気女優だ。三上GMは「海外の有名選手を呼ぶことで、現地で札幌市を知ってもらえる。サッカーの市場拡大だけでなく、観光業などに貢献し、クラブの存在意義を高められたら」と期待を込めた。

 ムアントン・ユナイテッドでACL予選出場のため、契約期間はシーズン途中の7月1日から1年半、Jリーグ提携国枠での契約予定だ。【中島宙恵】

 ◆チャナティップ・ソングラシン 1993年10月5日、タイ生まれ。12年にテロ・サーサナの下部組織からトップ昇格。同年にタイA代表入り。14年東南アジア選手権スズキ杯でタイを優勝に導き、最優秀選手に選出された。16年からムアントン・ユナイテッドへ期限付き移籍。158センチ、56キロ。利き足は右。

 ◆17年の外国籍選手の登録枠 これまでの外国籍選手3人+アジア枠または提携国枠など2人から、国籍を問わず5人登録できる。ただ、ベンチ入り人数は従来の外国籍選手3人+アジア枠または提携国枠など1人で変更はない。提携国枠とはタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、イラン、マレーシア、カタールの9カ国(オーストラリアは提携国も、選手登録の提携国枠に入らない)。