昨季J1と天皇杯を制し、クラブW杯でも準優勝の鹿島アントラーズが、17年も進化した強さで白星発進した。昨季年間勝ち点1位の浦和レッズに3-2で競り勝ち、7年ぶり6度目の優勝。途中出場のFW鈴木優磨(20)が決勝ゴールを決め、MFレオ・シルバ(31)ら新加入組も攻守に躍動した。21日にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の初戦、25日にはJ1開幕を迎える。

 17年も鹿島だ。2点を追いつかれた直後の後半38分、20歳の鈴木が決勝弾。味方からのロングボールを浦和DF遠藤の後ろから追い、バックパスをさらった。「グラウンドに水をまいてなかったので止まると思って狙っていました」。GK西川との連係ミスを見逃さず、2人の間に割り込み、左足で押し込んだ。

 クラブW杯で注目を浴びたCロナルドのゴールパフォーマンスは封印したが、今季から背負う9番をアピールする新パフォーマンスで沸かせた。

 後半途中からの出場できっちりと仕事をこなし、「点を取れているのはいいけれど、自分が入ってから2点取られたので納得はいかない」と反省も忘れない。「もっと圧倒して全タイトルを取れるように頑張ります」。今季練習試合を含め出場7戦8発。先発の座を勝ち取っての勝利まで満足できない。

 先発11人中4人の新加入選手が名を連ねた。GKクォン・スンテ、DF三竿雄に加え、レオ・シルバは攻守で核となった。守備ではDFラインまで下がって相手攻撃の芽をつんだ。前半43分には、得点の起点になった。MF柴崎移籍の穴を感じさせない主軸となった。

 FWペドロ・ジュニオールもドリブル突破だけでなく、前線からの守備でも貢献。左MFで先発した土居も「迫力、推進力はすごい」と今季のパワーアップを感じながらプレーした。

 国内3冠と、ACL初制覇でクラブW杯出場が目標だ。定位置争いが激化する中、MFレアンドロを含めたブラジル人と日本人の関係を密にしたのも鈴木だ。高校時代から勉強するポルトガル語で、和やかな雰囲気をつくる貢献度は高い。プロ20年目MF小笠原らに、新たな力も加わった鹿島が今年もJの中心だ。【鎌田直秀】

 ◆富士ゼロックス・スーパー杯 国内の新シーズン最初の公式戦で、Jリーグ開幕の1週間前に開催される。前年度のJ1と天皇杯の王者同士が対戦。今回は、鹿島が天皇杯も優勝したため、J1で2位の浦和が出場。賞金は勝者3000万円、敗者は2000万円。90分で決着がつかなければ延長なしでPK戦に突入する。