湘南ベルマーレMF菊地俊介主将(25)は、アビスパ福岡に0-3で敗戦も、この試合で試した新たなシステム、戦い方への大きな手応えを口にした。

 福岡戦では3バックから4バックにし、攻める時は2バック気味になり、中盤で6人が連動し、動いて攻めた。流動的な動きで福岡を幻惑し、特に前半は福岡を陣内にくぎ付けにして、一方的に攻め立てた。菊地はいつものダブルボランチから1列前のポジションで、初先発のFW野田隆之介と山田直輝をサポートしつつ前半7、10、25分に決定的なシュートを放ったが、わずかに枠を外した。

 菊地は「前半は福岡に何もさせないほどの内容で、点を取れなかったことが悔やまれます。後ろの選手との距離も近く、本当にやりやすかった。僕が決定機を決めていれば違った展開になった。申し訳ない」と振り返った。

 この日のシステム、戦い方を実戦で使うのは「初めてだった」という。「紅白戦でも、うまくいっていた。結構、はまった。ボールを奪われた後、すぐに奪いにいけるし、ボールもリズム良く動いた。負けましたけど、手応えがありました」と語った。

 曹貴裁監督(48)は試合後の監督会見で「新しい湘南のサッカー…何を大事に、何を埋めていくかに関しては、その一端を見せられたと思う」と語り、縦に速く、複数の選手が一気呵成(かせい)に攻める“湘南スタイル”の、新たな形の萌芽(ほうが)を口にした。その上で「1番は、選手の感じなんですよね。今日に関して言うと、選手としては非常に手応えがあった試合」とも口にした。

 菊地は「今年の試合で1番、手応えがあったと言えるくらいの内容。前向きに捉えたい」と語った。0-3の敗戦にも、曹監督と選手が同じベクトルで手応えを感じ、前を向けた福岡戦は、今季の湘南にとって前進への、大きなターニングポイントになりうる試合となった。【村上幸将】