J1清水が開幕2日前に新人の大抜てきを決めた。U-23日本代表MF本田拓也(22)が開幕戦(8日=日本平)で起用されることとなった。6日の練習では主力組の1ボランチに入ってプレー。長谷川健太監督(42)も開幕戦先発起用を口にした。清水の新卒選手では、MF藤本以来2年ぶりの開幕スタメンとなる。各世代の代表を経験している本田が、この絶好のチャンスをモノにする。

 本田が土壇場で開幕スタメンをつかみ取った。この日の試合形式の練習では、MFマルコス・パウロに代わって主力組の1ボランチに。周囲と確認を取りながら、最後まで主力組の黄ビブスを着けた。長谷川監督は「見ての通りです」と、本田の先発起用を明言。それでも本田は「まだ慣れていないのはあって指示も受けるけど、最初よりできるようになった。でも、細かいところはまだまだ」と、気を引き締めた。

 有言実行だ。1年目から「開幕スタメン」を目標に掲げ、テレビ番組では「できなかったらひげをそる」と公約までした。だが、公約達成への道のりは平たんではなかった。U-23代表の米国遠征でキャンプ中にチームを離れ、帰国後も時差ぼけから来る寝不足と食欲不振に苦しんだ。しかも同ポジションには新外国人MFパウロがおり「五輪代表ぐらいしか経験がない」控え組の日々が続いた。ひげをそる日も「オフ明けかなあ」と弱気になることもあった。だが、すべてをプラスにとらえてきた。「僕はまだまだだと思っているし、外から見ていて『あそこにフィード出そう』とか、いろいろ考えることもできた」。控え組でつかんだことを短い期間で発揮し、見事にトレードマークのひげを守った。

 大舞台を数多く踏んでいるだけに、聖地・日本平での開幕戦Jデビューに舞い上がることもない。本田は「チームが勝てばいい。勝つところを見てほしいです」と力を込めた。開幕2日前に「心配はしていない」と大抜てきしてくれた指揮官の思いに、大卒新人NO・1ルーキーがきっちり応えてみせる。【浜本卓也】