J2福岡の監督問題は、消極的続投で着地した。都筑興社長(66)は23日、成績不振で退任が決定的だったリトバルスキー監督(48)に今後も指揮を任せると発表。約2週間の猶予を設けながら後任を決められなかったクラブの失態により、チームは内外に混乱を抱えたまま第2クールへ見切り発車することになった。

 苦しい説明だった。第1クール終盤3試合3連敗と「追試」で結果を出せなかった監督の続投について、都筑社長は「悪い流れが完全に変わってはいないが、ここ2試合、うちが押す場面もあり、流れが変わる兆しを覚えたので、今後もお願いした」と話した。

 カネも、ヒトも、魅力も足りなかった。監督が進退伺を示唆した6日以降、首脳陣は後任探しに着手。元日本代表三浦泰年氏(42)ら、J監督に必要なS級指導者をリストアップし、水面下でオファーも出していた。しかし、スタッフの一部入れ替えが条件になるなど、交渉が難航。体制刷新に必要な資金的余裕について、都筑社長は明言を避けたが、クラブの運営予算は昨期の約14億円から、今期は約12億円に3期連続減少する見込みだ。その予算にも約2億円届かず、株主企業などに対し総額1億円を目標に追加支援を要請している。都筑社長は「経営面のメリット、デメリットも考えて決めた」と話した。

 クラブ内には監督以外のS級指導者がいないため、暫定監督をおき後任探しを継続する手段も取れないまま、次節ホーム仙台戦(25日)から新監督を立てる期限の23日を迎えた。現体制を維持する以上、補強などの打開策が必要だ。しかし田部和良GM(46)が提示したのは「(オーストラリア代表FW)グリフィスが6月末で契約が切れるので、代わりを探す」と、現有戦力のマイナスを埋める方策だけ。都筑社長は「監督をころころ変えると、クラブへの信頼がなくなる。場当たり的なことはしたくない」とも話したが、スタッフのテコ入れも、補強もないまま成績不振の監督を続けさせる姿勢からは、昇格への方向性が見えない。報酬度外視でも希望する人がいる新監督を逃した最大の要因は、カネでも時間でもなく、福岡というクラブの迷走ぶりにある。