<J1:鹿島2-1磐田>◇第15節◇5日◇エコパ

 鹿島には勝利への執念があふれ出ていた。その代表格がオリベイラ監督。終盤、異例の「ロスタイム7分」の掲示を見て、納得できずに怒り狂った。「ポーハ!(ポルトガル語でバカの意)」。1万8000人の観衆の中で怒声が最上階の記者席にまでとどろく。選手は集中力を保ち、接戦を制しても怒りは収まらない。「曽ケ端の(約3分の)スパイク交換が(試合中に)あったから」と主張した磐田MF名波に詰めより、一触即発となった。

 試合後は「レフェリーの判断だからコメントしたくない」と前置きした上で「珍しい数字だ。曽ケ端のスパイク交換があったとしてもだ。日本では1人の交代で約30秒。両チームで6人交代しても、その数字にはたどり着かない」と主張。持論通りなら掲示とは1分の差だが、信念を曲げるつもりはなかった。

 選手のプレーにも勝利への執念が乗り移った。前半34分にはMF本山の外側を巻くようにDF新井場が走り抜けた。DFの注意を引きつけ、2点目となるシュートコースを開けさせた。8月の球宴にもJリーグ代表選出が濃厚な新井場は「オトリのつもりでもなく、もらうつもりだった。自分の仕事をしただけ」と冷静。だが職務を果たしているからこその3連勝。指揮官、選手が戦う集団と化した鹿島が2位に浮上した。【広重竜太郎】