史上最強の“サポーター社長”が誕生した。コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)の臨時株主総会が11日に札幌市内で行われ、児玉芳明社長(71)が任期途中で辞任し、矢萩竹美氏(58=道新文化事業社前社長)が新社長に就任した。矢萩新社長はチームが誕生した96年開幕戦から試合観戦を始め、ホームゲーム“出席率”が9割超という熱狂的なサポーター。三浦監督が選手に求める「ハードワーク」を、チームだけではなくHFC社内にも徹底させる。
真っ黒に日焼けした矢萩新社長は、秘めた情熱を抑えるように、静かに口を開いた。「サポーターの1人として熱く応援してきました。熱い思いを経営のために費やしたい」。話すうちに次第にトーンが上がる。所信表明の語り口は熱かった。
チーム初公式戦となった96年4月21日、郡山で行われたJFL福島戦から応援してきた。これまでホームゲームの9割以上を観戦。趣味を問われると「コンサドーレ」と言い続けてきた。今年3月、新社長候補として自身の名が挙がっていることを知った。厳しい財務状態などHFCが抱える問題も知るだけに、及び腰になる気持ちもあった。「ここで逃げたら本当のサポーターではない」。腹を据えた。
熱心なサポーターであることに加え、実務にも明るい。北海道新聞では広告、事業など営業一筋。社長を務めた道新文化事業社では、日本ハムの地方試合のホームゲーム興行にも携わった。この日の株主総会後、上田札幌市長、佐藤道副知事にあいさつ。「市長と副知事にチケット購入はお願いできませんでしたが、(今後は)ごあいさつをしながらお願いしていく。断られながら何度もお願いするのには慣れてますから」と、12日からは自ら営業マンとなって前面に出る構えだ。
この日の臨時株主総会でもホームの観客動員数が伸びず、苦戦の状況が報告された。5月末までの状況では、8試合で目標とした興行収益3億3000万円を1億1000万円下回っている。打開に向け、季節感のあるイベントや地域の特色とタイアップした企画など、自身の持つプランの一部も披露した。「観客動員が最大のテーマ。フロント、スタッフ、社員が一体となってハードワークという統一的な気持ちを持ちながら戦う」。“運動量”と“熱さ”を持つトップの下、新生HFCが動きだした。【上野耕太郎】




