J2で10位と低迷する福岡のリトバルスキー監督(48)が11日、電撃解任された。後任には、前日10日にS級指導者資格を取得したばかりの篠田善之コーチ(37)が昇格した。5月に5連敗し14位になっても続投していた監督が、内部に適格者ができた途端に解任される唐突な人事に、選手は困惑を隠せなかった。

 次節ホーム徳島戦(13日)へ向け練習を再開した11日、福岡イレブンの輪の中心に「世界のリティ」はいなかった。この日の朝、都筑興社長(66)田部和良GM(46)から解任を通告されたリトバルスキー前監督は、選手に「1年半ありがとう」とあいさつして、クラブハウスを去った。中3日の連戦中に監督が交代。FW大久保哲哉(28)が「前も騒動があったけど、1回なくなった話かと思っていたので。まさか、このタイミングとは…」と驚いたように、唐突な解任劇だった。

 第1クール終盤に5連敗し、クラブ史上最低の14位だった5月末、都筑社長は「監督をころころ変えると、クラブへの信頼がなくなる」と1度は続投を打ち出した。しかし、この日の会見では「9位、10位は、アビスパのいる地位じゃない。ここが限度と判断した」と持論を曲げて、解任を決意した。田部GMは「外部から(新監督が)来たら、戦力を把握するのに時間がかかる。篠田監督なら残り試合で昇格を目指すことと、チームづくりを両立できる」と説明したが、S級取得当日のオファー、翌日の監督就任は異例の事態だ。社長は「今後のチームのことを考えた時と、たまたま時期が当たった」とかわしたが、急場しのぎの印象は否めない。8月8日がリミットの外国からの選手獲得や、不在のヘッドコーチ格の人選について、クラブは「新監督のリクエストを受けてから」と具体策を示さなかった。福岡初のはえぬき監督となる篠田新監督は「(昇格に)まだ間に合う。選手の自信を取り戻し、残りのゲームを全力で戦う」と、援護態勢が整わない中でも低迷脱出を誓った。【佐藤千晶】