<JOMO杯:Kリーグ選抜3-1Jリーグ選抜>◇2日◇国立

 サッカー界のトップが強烈なだめ出しだ。史上初のJリーグVS韓国Kリーグのオールスター戦は、Jが1-3で完敗した。視察した日本協会の犬飼基昭会長(66)は「韓国と日本の差は3倍あった」と、得点への意欲の差を指摘。Jリーグのみならず日本代表まで含めた日本サッカー界の課題として、得点への意識の低さに極めて強い危機感を示した。

 額に浮かんだ汗をぬぐおうともせず、犬飼会長は物静かな口調で厳しい言葉を次々並べた。「サッカーはどうやって勝つんだ?」。自問自答しながら「ゴールに入れて勝つんじゃないのか」と続けた。

 前半、Jオールスターズはきれいなパス回しで何度も韓国ゴールに迫った。それでも蹴り込めない。もどかしさは試合後、沸点に達した。

 犬飼会長

 球回しをしてゴールの近くに行ってどうするんだ?

 ポゼッション(保有率)が良くて何とかできるのか?

 サッカーは点を入れて競うもの。(今日の試合内容は)日本サッカーの典型だ。

 KオールスターズのDFは、最後の場面で恐れず体を投げ出してシュートをブロックした。シュートは打つが点を奪えないJは、先制されるとずるずると3失点。チャンスと見るや、一斉に相手ゴールになだれ込むKの怒とうの攻めが、日本との決定的な差として結果に出た。

 犬飼会長

 Jリーグの監督も選手ももっと考えた方がいい。韓国は点を取ることへの意欲がはっきり出ていた。日本との差は3倍あった。Jリーグ同士でやっていては分からないことだった。課題が見つかったことを良しとしないとね。でも、代表も同じ感じ。闘莉王には点を取るというものが出ていたが、もっといっぱい出ないとだめだ。

 MF金崎は「お祭りムードでも韓国の選手は球際で激しい。代表で定着するには予選でこういう相手を戦わないといけない」。DF闘莉王は「いつも貪欲(どんよく)に点を取るのは僕の仕事。それがなくなったらサッカーを辞める時。(会長が指摘した)そういうものは少し感じてます」と、チーム内の温度差を感じていた。

 単なるお祭りイベントでの敗戦では済まされない。そこには、日本サッカーが必ず越えなければならない壁が、はっきりと存在していた。【井上真】