<J1:名古屋2-1鹿島>◇第22節◇23日◇カシマ

 ピクシー名古屋がやっと“のろい”を解いた。逆転勝ちを告げるホイッスルが鳴ると、長く待たされ続けたサポーターが、大歓声を挙げた。指揮官をたたえる「ピクシー・アレ!」コールに、ストイコビッチ監督は高々と左手を挙げてこたえた。

 「鬼門」カシマサッカースタジアムでの初黒星は93年5月のJ開幕戦だった。ジーコのハットトリックなどで、0-5で完敗した。以来、公式戦21戦全敗。その“ジーコののろい”を、カシマでは初采配のピクシーが打ち破った。「サッカーやめるまでにやり遂げる目標の1つが達成できた」と笑わせたが、GK楢崎は「監督の持ってる力でしょう」と言い切った。

 新米監督は就任後、数々の負の連鎖を断ち切っている。今季の名古屋は過去5戦未勝利だった埼玉スタジアムでの初勝利、ナビスコ杯で3年14試合ぶりの勝利を挙げるなど進撃を続けている。MF小川も「これまでとは監督が代わっただけだけど、何か勝てる気がした」と言う。

 当のピクシーは「運を名古屋に持って来た男だと見られているなら、それは幸せなこと。ただ、今日の勝利はサポーターが喜ぶべきことであって、我々チームはすぐに忘れて次に向かうべき」と、2位浮上にも冷静だ。悲願のリーグ初制覇に向け表情を引き締めた。【八反誠】