内山篤前監督(49)の解任に伴い不在だった磐田の新監督に、94年のJリーグ加入当時の指揮官だったハンス・オフト氏(61)が就任することが決まった。練習を再開した1日に発表された。柳下正明コーチ(48)ら現スタッフは、そのまま残留する見通し。磐田を知る新監督とともに、16位と低迷する降格圏内から脱出し、巻き返しを図る。

 3日間のオフが明けて練習を再開する前に、選手には新監督が伝えられた。94年から3年間、磐田を指揮したオフト氏。当時を知るDF田中は「意外でした。でも、たまに磐田を見に来ているし、親しみはある。あとは、選手も変わっていかないと良い結果は得られない」と、新たな気持ちを胸に気を引き締めた。

 この3日間、選手はやきもきしていた。内山前監督の突然の解任と、後任監督の未決定。動揺は走った。この日朝、最後のあいさつに訪れた前監督に「今までありがとう。頑張ってくれ」と言われた。FW前田は「力不足で本当に申し訳ない。試合に出ていた身として責任を感じる」と言い、MF山本康も「力を貸せずに悔しい」と言った。だからこそ新監督が決まり、DF茶野は「結果を出すしかない」と語気を強めた。

 監督不在の中、この日の練習は大橋GKコーチを中心に行われた。退団の可能性もあった柳下コーチは馬淵社長らと会談。辻取締役によると、残留要請に「オフト氏の考えを聞いてからだが、前向きに考えると言ってくれた」。選手時代に指導を受けたオフト氏とともに、王者再建の手助けをする見通しになった。

 あとはもう、6試合勝利から遠ざかるリーグ戦に集中するだけ。FW中山は「人間的に嫌いじゃない。3年間付き合っているし、離れてからもあいさつしてくれる。いい方向に行くことを祈るし、選手がそういう方向に持って行かないといけない」と話した。12年ぶりに復活するオフト磐田が、低迷脱却の切り札になる。【今村健人】