<J1:千葉2-0東京V>◇14日◇フクアリ

 千葉FW巻誠一郎(28)が、1得点「2アシスト」でチームを2-0勝利に導いた。後半4分に右クロスを倒れながら頭でたたき、J通算1万3000点目のメモリアルゴール。同20分にはゴール前で粘りPKを得て、その4分後には相手の退場を誘った。勝ち点3を加え、16位磐田と5点差に縮めた。巻の活躍をスタンドで視察した日本代表の岡田武史監督は「巻は1得点2アシスト」と絶賛。W杯最終予選ウズベキスタン戦(10月15日)に向け、調子を上げてきた。

 巻の頭は、上がったボールを逃さない。後半4分、逆襲カウンターで右から低い弾道のボールが上がった。普通の選手なら右足で合わせるクロスだった。しかし巻に迷いはない。相手のチェックを受け倒れながら、頭から突っ込んだ。らしさを前面に出す泥臭い決勝点を上げた。同20分にはゴール前でヘディングに競り勝ち、焦った相手DF萩村の警告を誘い、PKをゲット。その4分後には再び萩村に引っ張られ、2枚目の警告で退場に追い込んだ。

 視察した岡田監督からは「巻は1得点2アシストみたいなもの。よかったんじゃない」と絶賛された。しかもJ1通算1万3000点目の記念ゴールだった。それでも「勝利に貢献できたこと、チームが勝つことがもっと大事ですから」と、代表監督の高評価、メモリアルゴールより、チームの4戦ぶり勝利を喜んだ。

 代表での悔しさをこの一戦にぶつけた。気合の丸刈りで臨んだアウェーのバーレーン戦(6日)は、出番なく無念の帰国。今季の目標を「代表レギュラー定着」と定めていただけに、悔しさは募った。この日は岡田監督、代表でのライバル大黒の前で大暴れし、悔しさを一気に晴らした。

 勝ち点3を加え、16位磐田との差を5に縮めた。「あまり先を見てもいいことはない。目の前の試合に集中するだけ」。リーグ戦は残り10戦。W杯最終予選は1試合が終わっただけ。降格圏脱出と代表レギュラーへ、巻の再挑戦は始まったばかりだ。【盧載鎭】