J2自動降格圏の最下位に低迷しているコンサドーレ札幌が「ニンジン作戦」を検討していることが26日、分かった。J1残留に向けて、残り8試合の選手勝利給を増額するプラン。クラブは08年決算を興行収入の伸び悩みから1億2000万円の赤字と見込んでいたが、移籍交渉中のFWダビ(24)の交渉がまとまれば約3億円の移籍金が入ってくる。チームに大きな痛手となるエース離脱を、少しでも成績に反映させる構えだ。

 エースを失う代償に手にする巨額の移籍金は、残留のために使う-。“ダビマネー”が選手の発奮材料として使われる可能性が出てきた。

 最下位の札幌は、8試合を残し、16位千葉まで勝ち点10差。クラブ側では、残留に向けて高い勝率が求められる残り試合の勝利給を増額するプランを検討している。三上大勝強化部長は「(勝利給増は)シーズン中にも1度やった。そういう状況になったら考えたい」と明言こそしなかったが、移籍金の有効活用を考えている。

 ダビ退団が正式に決まれば、クラブには約3億円の移籍金が入る。移籍が表面化する前は「08年度の決算見込みはマイナス1億2000万円」(矢萩社長)だったが、黒字決算は確実。更に、年度内に強化費として使える余裕も出ることになる。10試合連続で未勝利と一向に光が見えてこないチームに、きっかけをつくるため、ダビマネーを導入する。

 今季勝利給は昨季の2倍になっていた。首脳陣、選手らへの配分は1試合で500~600万円。倍増となれば1試合で500万円前後、残り8試合に適用した場合4000万円程度の支出増となるが、それでJ2降格を免れるのなら、決して無駄な支出とはならない。

 チームの士気にも影響する。ある選手は「こういう状況でも、クラブは勝利給のことも考えてくれている。勝たなければならない」とモチベーションがアップしていた。残り8試合の勝利給を増額した昨季は、5勝1分け2敗のラストスパートでJ2優勝を決めた。ダビにチームをJ1に残留させるプレーを求めることはかなわなくなりそうだが、残した「遺産」でチームが活路を見いだす可能性はある。