<J2:水戸3-2仙台>◇第38節◇28日◇ユアスタ

 わずかなスキが、致命傷になりかねない黒星を呼んだ。J2仙台が、26戦無敗(19勝7分け)だった水戸に、まさかの逆転負けを喫した。前半42分、MF梁勇基(26)の3戦連続ゴールで先制したのもつかの間、2分後に失点。後半は、追加点を奪えない焦りから集中力を欠くプレーで2失点。「未熟さ」(梁)を露呈したチームは、6年ぶりの5連勝と2位浮上のチャンスを逃し、4位に後退した。

 ホームで“お得意さま”にズタズタにされて、面目丸つぶれだ。2-2の後半ロスタイム。ゴール前に放り込まれたボールをDF岡山がクリアしきれず、水戸FW荒田に決勝点をたたき込まれた。終了の笛と同時に、岡山はシャツで顔を覆い、GK林はボウ然と立ち尽くした。「自分のミス。連勝のいい流れだったけど『引き締めろ』という負けなのかも」と岡山は、生気を失った顔でつぶやいた。

 梁の先制点からわずか2分後。DF陣に生まれたスキを、水戸MF赤松に突かれた。ゴール前を斜めに走る何でもないクロスを、GK林とDF木谷が「お見合い」。ボールへの詰めが甘くなった瞬間、ゲットされた。木谷は「集中とか判断とか、しっかりしなければいけなかった」と集中力の欠如を認めた。ピッチ上に漂う、油断に気づいた梁は「引き締めて行こうとしたけど…。1-0で折り返せなかったあそこが、ポイントだった」と悔やんだ。

 精神力のひ弱さが、随所に顔をのぞかせた。後半開始から何度もあった得点機を逃すと、ゴールを奪えない焦りは頂点に。MF関口がジャッジに反論し23分にイエローカードをもらう。ここから攻守にイージーミスが多発した。焦りが攻撃に空回りし、逆にカウンター攻撃を食らう始末。梁は「このチームの未熟さがでた」と、唇をかんだ。

 01年以降、最終クールで2位になったことがなく、重圧の経験が乏しい。正念場の試合を落とし結果的にも毎年「あと1歩」を繰り返してきた。「(終了の)笛の瞬間、初めて水戸に負けたと思った」と話す手倉森監督にも、相性のいいチーム-という思いがあったのだろう。下位チームを見下ろし、勝ち点の取りこぼしを繰り返すチームには当然、4連勝による油断、心のスキがあった。わずか1節で、昇格圏内の3位から転落。もう1度引き締め直さなければ、終演の時は、すぐにやってくる。【山崎安昭】