自然体でタイトルをつかむ。12年前の優勝メンバーでもあるJ1清水MF伊東輝悦(34)は29日、決戦ムードが高まる中でも平常心を保って練習に打ち込んだ。来月1日のナビスコ杯決勝(国立)に向け、Vの味を知る清水の鉄人が若いチームを落ち着かせ、優勝へと導いていく。
この日の練習場には、横断幕が周囲一面に張られた。決戦ムードは高まるが、伊東は「どこを見ても目に入っちゃうし、記者もいっぱいいるしね」と笑った。「普段やらないことはできないと思うし、やるべきことを表現すれば良い試合になると思う」。大舞台を前にも冷静さを保っている。
現役選手で唯一の12年前Vメンバーだ。決勝を思い起こすと、歓喜の瞬間だけでなく、出場できなかった苦い思いもよみがえる。「若かったし、ピッチに立って勝利に貢献できたらって当時は思っていた」。プロとしてピッチに立てなかった悔しさは当然ある。だが、その優勝経験があるから成長できたことも実感している。「自信は持てるようになれると思うね」。
若手が多い今だからこそ、優勝したい気持ちも強い。「勝つ喜びっていうのは勝ったやつしか分からないし、気持ちのいいもの。それは自分も味わいたいし、若い選手は僕以上に経験してほしい」。ピッチに立てなかった前回V時から12年。長谷川監督に「テル(伊東)に関しては信頼しきっているので言うことはない」と言わしめるほど、チームに欠かせない存在となった。それでも伊東は「やっぱりピッチに立ちたいというのが強い。今も変わらないね。タイトルを取るために戦っているし、何としてもつかみ取りたい」と、気を緩めることはない。
「緊張?
そりゃだれでもするでしょ。隠すことはないと思う」と気負いもまったくない伊東。「今まで通りでいいと思う」。清水の鉄人は普段通りに、大舞台でもピンチの芽を摘んでチャンスを生み続ける。【浜本卓也】



