【グアム21日=永野高輔】09年札幌がいきなりのハードトレで幕を開けた。コンサドーレ札幌のグアムキャンプが始動した。石崎信弘新監督(50)が、早くも厳しいトレーニングを課した。ランニング中心で約2時間、ほぼ休みなしの過酷メニューに、新戦力FWキリノ(24)が右ふくらはぎをつり早くも離脱。地獄のキャンプを予感させる初日となったが、グアムでは掲げる「走り負けないサッカー」遂行のため、徹底したフィジカルメニューを導入する。

 札幌の新エース候補が真っ先に悲鳴を上げた。練習終盤に行われた10対10のミニゲーム。開始10分後、FWキリノが突如、鈴木通訳を呼び出し、右ふくらはぎをさすりながらとぼとぼとピッチ外へ出て行った。「長い間、休みをとっていたからだと思う。最初の練習だし仕方がない。明日?大丈夫だと思う」。キリノは口をへの字に曲げ苦悶(くもん)の表情を浮かべるしかなかった。

 石崎流肉体改造が早くもベールを脱いだ。アップ後、30分間のペース走、リフティングなど、給水での数分の休み以外、2時間ほぼ継続して体を動かすメニューを課した。しかも、メニューの間には罰ゲームを組み込んだ。体に張りが出始めた時点で導入された魔のミニゲームで“餌食”となったのが、キリノだった。それでも石崎監督は「本格始動?まあ初日だからね。明日から徐々にね…」と、この恐怖がほとんど序章にすぎないことを強調した。

 本当の地獄はここからだ。22日からは2部練習に移行。午前中を担当する石栗フィジカルコーチは「(フィジカル)メニューを走行距離に換算するとすれば、1回約8~10キロぐらいになる」と明かした。午前中で10キロ。午後は石崎監督中心にボールを使いながらの練習が主体となる。サッカー1試合の走行距離は10~15キロ。午後練習での走行分をプラスすると残る18日間、休むことなく毎日1試合を戦い続けるのとほぼ同等の負荷を課されることになるわけだ。

 MF藤田は「楽しかったけど、さすがに体が張っている。あしたから本当に気合を入れないと」と厳しい表情を見せた。J2の52試合のハード日程をクリアするために導入される石崎式肉体改造キャンプ。“18日間18試合”トレーニングで走り負けない強靱(きょうじん)なチームへと生まれ変わる。【永野高輔】