浦和の新社長に内定した三菱自動車前常務の橋本光夫氏(59)が4日、フロント陣一新後もフィンケ体制を全面支援することを明言した。就任内定後初の公式戦となった浦和-大分戦(埼玉)を視察。相手の猛攻に耐えてつかんだ白星に「選手たちの精神力の強さを感じた」と評価。さらにこの日、非公式ながら今後の運営方針についても初めて言及し、フィンケ監督ら現コーチ陣によるチーム強化を継続する考えを示した。

 橋本氏

 スポーツの世界は、1年や2年でうまくいくような甘いものではない。体制が変わったからといって、チームを変えることはしない。チーム運営は現在取り組んでくれているプロのスタッフに任せます。

 新監督のもとで再建に乗り出した矢先のフロント総退陣。人とボールが連動する新スタイル確立へ、今季を土台づくりの年と位置づけていた現場に「結果重視への方針転換やスタッフ入れ替えがあるのでは」という不安が走った。選手時代のドーピング検査でマリフアナの陽性反応が出たタンコ・コーチを巡り、株主側が強い懸念を示した経緯もある。しかし、橋本氏はその可能性を否定した。

 橋本氏

 今後もそういう状況(長期展望の指導)になるのが望ましい。続投条件のようなノルマなんて設けません。(タンコ氏について)本当に認めないのなら、株式を50%近く保有する三菱自動車も何かしら動いたはず。でも、動かなかった。それが事実です。

 橋本氏は浦和の非常勤取締役となった昨季から公式戦に足を運んでいる。就任が内定した3日の取締役会後には早速、現職の藤口社長や強化部門責任者の信藤チーム・ダイレクターと強化策について話し合った。今後は経営のスリム化に着手する。

 橋本氏

 厳しい経済情勢で、どの企業も原点に返って体制を見直している。レッズだけ特別扱い、とはいかない。正式に就任した際には、監督ともじっくり話をしたいと思っています。

 橋本氏は24日の株主総会を経て新社長に就任する。