浦和の橋本光夫新社長(60)が、就任初仕事でフォルカー・フィンケ新監督(61)への「全権委任」を撤回することが24日、分かった。この日、さいたま市内で開かれたクラブの株主総会と臨時取締役会を経て、新社長に正式就任。フィンケ体制の全面支援を明言する一方で、藤口光紀前社長の在任時に同監督に一任していた戦力補強や広報体制、練習環境などのチーム運営について、信藤健仁(しんとう・かつよし)チームダイレクター(48)に権限を統括する方針を固めた。

 橋本新社長が正式就任とともに動きだした。この日の臨時取締役会後早速、さいたま市内のクラブハウスを訪れ、フィンケ監督はじめ全選手とスタッフに「現在のチームの指導体制や方針をクラブとして全面的にバックアップしたい」とあいさつ。経営陣一新が今季のスタッフ人事に影響しないことをいち早く伝え、現場の不安を取り除いた。

 一方で、フィンケ監督との関係見直しにも着手する。関係者によると、同監督は契約時に、16年間指揮したフライブルク時代の体制を希望。選手の指導からチーム運営まで統括するGM職を兼任する形で就任した。年明けには海外移籍を希望したMF相馬(現マリティモ)について「どうしても必要な戦力ではない」と引き留めを回避。その後もメディア対応の制限や練習場の改善要請など幅広く、管理していた。

 橋本社長は「監督によってチームのマネジメントが変わるのはよくない。監督は選手の育成や戦術の強化に集中してもらい、信藤チームダイレクター(TD)が統括する形にしたい」という。広報体制や選手、スタッフらのクラブ外活動、選手の獲得交渉や投入資金の検討など「もちろん、監督との意見交換は必要」(橋本社長)としながら、TDに判断を委ねる。「今後はTDを前面に出して、彼が仕事をやりやすい環境を整えたい。彼に責任を押しつけるのではなく、もちろん私自身も、積極的にコミュニケーションを図って、チームを盛り上げていきたい」と話した。

 スカウティングや現場の経理部門など、現在はTDと別動のチーム業務部や、若年層の育成を担当する「アカデミー」をTD直下型の組織に変更するプランもある。橋本社長は既に、4月上旬の社長就任内定後からフィンケ監督と直接対談を重ね、権限の一部見直しについては「理解を得られたと思っている」という。今後、速やかに改革を推し進めていく構えだ。